らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 ざざん…という波打つ音が気持ち良い。
 目的地に近づくにつれて、私の足取りは重たいが、皆は嬉しそうに海を眺めながら歩いている。
 特に、鈴様は目をきらきらさせている。
「やはり、海とはいいものだな。昔、よく来たものだ」
 ホムラさんは黙って鈴様の言葉に頷いている。

 海がある…というこは、旅も終盤。
 意外と、あっという間の旅だったなと思った。
 海風にあおられながら、前を向くと、
 流木に座り込んだ、おじいさんの姿があった。
 おじいさんは、何をするわけでもなく、じっと海を眺めている。

 2年前もいたなあ…
 おじいさんを眺めていると。
 おじいさんは、こっちを見て黙って会釈してくれた。
 反射的にこっちも、ぺこっと頭を下げる。
 ざざん…ざざん…

「着いた」
 ジェイの視線の先にある、海の一族の村。
 改めて、村を認識すると緊張でドキドキと胸が鳴った。
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