らんらんたるひとびと。~国内旅編~
「おまえたち同期3人衆と海の一族はどういう繋がりがあるのだ?」
さっきから、鈴様は質問ばかりしてくる。
あんまり、ベラベラ喋るものじゃないんだけど…。
黙っていたら、黙っていたで。
変な憶測をたてられるに違いない。
この人は、ホムラさんにすぐ報告して。
ホムラさんはドラモンド侯爵に後でまとめて報告するんだろうな。
あー、どこまで話すべきか考えるのが面倒臭い。
もう、お酒を飲みすぎたせいにしてしまおう。
ふうっと息を吐きだす。
今夜は月あかりがあって良かった。
ちょうど、屋根の隙間から丸い月が見える。
「2年前、幼児誘拐事件があったのを覚えていますか?」
「誘拐事件? ああ、身分の高い子供が何人も誘拐されて身代金を要求した事件だった」
「そうです。騎士団が総力をあげて犯人を見つけ出して、事件は解決しました」
「…まさか、その中にいたということか?」
そこは、やはり鈴様。
世間知らずの坊ちゃまだけれど。
頭は良いので、先読みして理解してくれたようだ。
私は「ははっ」と笑ってしまう。
「そうです。誘拐された子供は12人いて。その中の一人がカハナでした」
「そうか。だから、おまえの同期を命の恩人だと村人が言っていたのだな」
私は折り曲げていた足を伸ばした。
「東西南北…誘拐された子供たちは全国各地に住む子供たちだったので。事件の聴取の後。家の者が迎えに来る子もいれば、家庭の事情で迎えに来られない子供もいて…。カハナの家族は…当然、迎えには来られない…というか来る気は毛頭なかったので。私とジェイ、白雪姫の3人でカハナを家まで送り届けたんです」
海の一族がわざわざ、中央部の国家騎士団本部まで足を運ぶなどということは絶対になかった。
戦争で怪我をして療養中だった私と、たまたま手の空いていたジェイと白雪姫が任命されて。
カハナを送り届ける…ちょっとした旅になった。
列車に乗れば、3日ほどで着く旅だったのに。
カハナが列車酔いで何度も途中下車したのと、我儘言いたい放題で途中で道草をして一週間以上かかった旅になってしまった。
その旅の間、カハナは親切なジェイに恋をした。
ジェイは当たり前のようにカハナに接していたはずだけれど。
カハナにとって、ジェイは今まで自分の周りにいなかった新しい存在だったそうだ。
恋をしたことのないカハナは自分のモヤモヤした気持ちに気づかず。
いつのまにか、私に冷たい態度を取るようになった。
私と白雪姫はすぐにカハナは嫉妬をしているのだと気づいた。
当の本人であるジェイは嫉妬だと最初は気づいてなかったようだけれど。
白雪姫がこっそりと、カハナに
「カハナちゃん、それは恋っていうんだよ」
とニタニタしながら、カハナに恋愛講座をしてあげたらしい。
カハナは白雪姫の言うことがすべて自分に当てはまったらしく。
自分がジェイに恋をしていると、すぐに認めた。
認めた瞬間、カハナは開き直って。
「では、ジェイは私の結婚相手だ」
と本人を目の前に言った…言い切った。
相手は10歳の容姿端麗な女の子。
ジェイは、笑って。
「そうだな。大人になって気持ちが変わらないのなら結婚しような」
…ジェイは冗談だと思っていたらしいけど。
私と白雪姫にはわかっていた。
この子なら、絶対に。
世界が滅亡しかけても、ジェイを結婚相手にするんだろうなって。
さっきから、鈴様は質問ばかりしてくる。
あんまり、ベラベラ喋るものじゃないんだけど…。
黙っていたら、黙っていたで。
変な憶測をたてられるに違いない。
この人は、ホムラさんにすぐ報告して。
ホムラさんはドラモンド侯爵に後でまとめて報告するんだろうな。
あー、どこまで話すべきか考えるのが面倒臭い。
もう、お酒を飲みすぎたせいにしてしまおう。
ふうっと息を吐きだす。
今夜は月あかりがあって良かった。
ちょうど、屋根の隙間から丸い月が見える。
「2年前、幼児誘拐事件があったのを覚えていますか?」
「誘拐事件? ああ、身分の高い子供が何人も誘拐されて身代金を要求した事件だった」
「そうです。騎士団が総力をあげて犯人を見つけ出して、事件は解決しました」
「…まさか、その中にいたということか?」
そこは、やはり鈴様。
世間知らずの坊ちゃまだけれど。
頭は良いので、先読みして理解してくれたようだ。
私は「ははっ」と笑ってしまう。
「そうです。誘拐された子供は12人いて。その中の一人がカハナでした」
「そうか。だから、おまえの同期を命の恩人だと村人が言っていたのだな」
私は折り曲げていた足を伸ばした。
「東西南北…誘拐された子供たちは全国各地に住む子供たちだったので。事件の聴取の後。家の者が迎えに来る子もいれば、家庭の事情で迎えに来られない子供もいて…。カハナの家族は…当然、迎えには来られない…というか来る気は毛頭なかったので。私とジェイ、白雪姫の3人でカハナを家まで送り届けたんです」
海の一族がわざわざ、中央部の国家騎士団本部まで足を運ぶなどということは絶対になかった。
戦争で怪我をして療養中だった私と、たまたま手の空いていたジェイと白雪姫が任命されて。
カハナを送り届ける…ちょっとした旅になった。
列車に乗れば、3日ほどで着く旅だったのに。
カハナが列車酔いで何度も途中下車したのと、我儘言いたい放題で途中で道草をして一週間以上かかった旅になってしまった。
その旅の間、カハナは親切なジェイに恋をした。
ジェイは当たり前のようにカハナに接していたはずだけれど。
カハナにとって、ジェイは今まで自分の周りにいなかった新しい存在だったそうだ。
恋をしたことのないカハナは自分のモヤモヤした気持ちに気づかず。
いつのまにか、私に冷たい態度を取るようになった。
私と白雪姫はすぐにカハナは嫉妬をしているのだと気づいた。
当の本人であるジェイは嫉妬だと最初は気づいてなかったようだけれど。
白雪姫がこっそりと、カハナに
「カハナちゃん、それは恋っていうんだよ」
とニタニタしながら、カハナに恋愛講座をしてあげたらしい。
カハナは白雪姫の言うことがすべて自分に当てはまったらしく。
自分がジェイに恋をしていると、すぐに認めた。
認めた瞬間、カハナは開き直って。
「では、ジェイは私の結婚相手だ」
と本人を目の前に言った…言い切った。
相手は10歳の容姿端麗な女の子。
ジェイは、笑って。
「そうだな。大人になって気持ちが変わらないのなら結婚しような」
…ジェイは冗談だと思っていたらしいけど。
私と白雪姫にはわかっていた。
この子なら、絶対に。
世界が滅亡しかけても、ジェイを結婚相手にするんだろうなって。