らんらんたるひとびと。~国内旅編~
もう・・・自分はこの家の子供ではないはずなのに。
母は、自分の部屋を片付けることをせず、そのままにしておいてくれた。
鈴は今まで味わったことのないような複雑な気持ちになった。
2階に上がって部屋のドアを開けると。
ずしん…と胸が苦しくなった。
薄暗いが、何一つこの部屋は変わっていないと気づいた。
ドアの前で立ち尽くしていると、後ろから「鈴様」と低い声で言われたので。
鈴はすぐに舌打ちして振り返った。
とっくに客室に行ったと思っていたホムラが立っていたからだ。
「明日のご予定ですが、こちらに迎えにくればよろしいでしょうか」
「ああ。そうしてくれ」
「では、おやすみなさい」
ホムラはぺこりと頭を下げると、暗闇の中へと消えて行った。
自分より一回りも年上だというのに、見た目はどうみても20代前半にしか見えないホムラ。
かつては国家騎士団でドラモンド侯爵と共に活躍し、国家騎士団を辞めたドラモンド侯爵にスカウトされ、北部の侯爵家へ共にやってきた男…
ドラモンド侯爵の忠実な部下として働いてきた彼は今、鈴の部下として働いている。
そんな男と鈴の生家にいるのが不思議な感覚だった。
鈴はベッドへと倒れ込んだ。
自分が思っている以上に緊張していたようだ。
生まれ育った本当の自分の家だというのに、こんな感情になるとは。
「夜でよかった…」
鈴は呟くと、目を閉じた。
母は、自分の部屋を片付けることをせず、そのままにしておいてくれた。
鈴は今まで味わったことのないような複雑な気持ちになった。
2階に上がって部屋のドアを開けると。
ずしん…と胸が苦しくなった。
薄暗いが、何一つこの部屋は変わっていないと気づいた。
ドアの前で立ち尽くしていると、後ろから「鈴様」と低い声で言われたので。
鈴はすぐに舌打ちして振り返った。
とっくに客室に行ったと思っていたホムラが立っていたからだ。
「明日のご予定ですが、こちらに迎えにくればよろしいでしょうか」
「ああ。そうしてくれ」
「では、おやすみなさい」
ホムラはぺこりと頭を下げると、暗闇の中へと消えて行った。
自分より一回りも年上だというのに、見た目はどうみても20代前半にしか見えないホムラ。
かつては国家騎士団でドラモンド侯爵と共に活躍し、国家騎士団を辞めたドラモンド侯爵にスカウトされ、北部の侯爵家へ共にやってきた男…
ドラモンド侯爵の忠実な部下として働いてきた彼は今、鈴の部下として働いている。
そんな男と鈴の生家にいるのが不思議な感覚だった。
鈴はベッドへと倒れ込んだ。
自分が思っている以上に緊張していたようだ。
生まれ育った本当の自分の家だというのに、こんな感情になるとは。
「夜でよかった…」
鈴は呟くと、目を閉じた。