鮫島先生は今日もズルい
「……」
え?
授業が始まる前には担当の先生が教室で待機するのは、4時限目にしてなんとなくわかった。
もしくはチャイムと同時に教室に入ってくる。
そしていつもの号令をして授業開始。
なのに……先生来ないんだけど?
不思議に思ってるのはあたしだけじゃないみたいで、ザワザワと教室中が騒ぎ始めた。
「何で来ないの?」
「次、数学だよな?」
「忘れてんじゃねーの」
「どーする?呼び行く?」
「先生の顔知らないよ」
「え、何?サボり?」
「なら俺らもゲームしよーぜ」
「おー!じゃあこっちで一緒にやろーぜ」
1人の男子が席を立った瞬間、ガラッと教室のドアが開いた。
「わりー。教室間違えて遅刻した」
黒髪の先生がチラッとこっちを向く。
今日来た中で1番若そうな先生。
「あ?何してんの?早く席につけ」
その言葉に、立ち上がっていた男子は無言のまま席についた。