離縁の理由は愛されたいと思ったからです
「エミリオ様? わたくしは着替えてきてから食堂でお待ちしますと言ったはずですわよ? そのように乱れた服装と言う事は、食事をするつもりはない。と言う事ですわね? 分かりました。わたくしも食欲が失せてしまいました。本日は先に休ませていただきます」

 有無も言わさない冷たいルーナ。


「ルー! 話を聞いてください」


「皆さんが見ていますわよ? 先程も言いましたがわたくしは食欲がありません。スージー部屋に戻りますよ」


 バタン……


 ******


「言い訳もさせて貰えないなんて……」


 床に膝を突き項垂れるエミリオ。

「何があったのですか? エミリオ様こんなところで項垂れていないでまず着替えたらいかがですか? なんですか、そのキスマークは……ルーナ様のものではありませんね」

 リュウに言われ、のそのそと立ち上がる。ルーナがこんな物をつけるわけないだろう。一目瞭然だけど。

「誤解なのに。あんなルーナの顔を初めて見た……拒絶された……」


「落ち込んでいる暇があったら謝罪に行かれたらどうですか? 結婚式の前に花嫁に逃げられたなんてとんだ醜聞ですよ。笑い話になりません」



 コンコンコン……


「ルー? 誤解なんです、話を聞いて下さい」

 ガチャリと扉を開けるルーナの目が赤い。

「話をさせてください。誤解があったようです」

 
 必死にルーナに声をかけるとようやく返事が返ってきた。


「……誤解を受けるような事をしたとおっしゃるのですか?」

 

「違います! 神に誓ってありません」

 そっと扉を開けるルーナ。どうやら入室を許可されたようだ。いつもなら隣に座ってきてくれるルーナがテーブルを挟んだ席に座った。向かい合う形だ。


「……着替えの時に気がつきました。なぜシャツにこんな物が付いていたかと」


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