離縁の理由は愛されたいと思ったからです
「ルーナ! 今日も来てたのか?」

 あ、噂をすれば。


「うん。家に帰ったらお兄様がいてしばらく王都に滞在するんですって。結婚式にもこなかったくせに……」

 ぶつぶつと文句を言う。

「え! アルがいるの? 帰ったなら教えてくれれば良かったのに。後で会いに行ってみる」


 ……そりゃ知らないでしょうね。神出鬼没だもん。


「私も知らなかったからびっくりしたわ。それと研修の時にまた来るね。オープンの日は私も売り子になるから」


 うちの制服は可愛い! お母様のお店でオーダーしたものだ。水色のワンピースに白いエプロン、白い靴下にエナメルの靴に至るまで用意した。


「僕も手伝うよ。ちゃんと見届けないとね」


「ありがとう。経費諸々の請求書は私宛に侯爵家に送っておいてね!」


「分かった、届けに行くよ」


 フェルナンドの仕事は多岐に渡る。空き店舗を探してもらって、建物の内装を手掛けてもらった。その時に売り子さんも募集して、研修まで受けさせてくれるの!

 フェルナンドの会社には面白い人がたくさんいるから、こんな店が良いの。と案を出すと次の日にはラフ画が何点も届けられた。

 これ! 私の理想よ! と言って今に至る。フェルナンドも忙しいだろうに立ち会ってくれて感謝だわ!

 結局昼過ぎに帰ることになった。売上の管理もしたいし、溜まった新聞を読んで株価のチェックをしよう。

 鉄道関係は最近調子が良いのよねぇ。



 侯爵家の離れに着くと、ジョゼフが迎えに来た。なんなのよ! さっき別れたばかりなのに。



「おかえり、話があって待っていたんだ。今から良い?」

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