転生アラサー腐女子はモブですから!?
「それで、アイシャは誰と婚約を結ぶか、決心がついているの? あの社交界の様子だと、誰とも婚約しないというわけにもいかないでしょ? そんな事をしたら、槍玉に上がってしまうわ」

「えぇ、承知してます。母からも言われました。誰とも婚約を結ばなければ、わたくしの評判は地に落ち、リンベル伯爵家の家名にも傷をつけると」

「そうねぇ。王太子と侯爵子息二人から同時に婚約を打診されるなんて、前代未聞だわ。王家からも侯爵家二家からも、正式な発表がなされていない今、噂の域を脱していない段階だけど……、噂好きの貴族達からしたら格好のネタよね。社交界では伯爵令嬢のシンデレラストーリーとして、貴方が誰と結ばれるか賭けをしている輩もいるとか、いないとか」

 自分の想像の範疇を超えて、時の人となってしまった現実に、アイシャの背を冷や汗が流れる。

「それで、アイシャは誰と婚約するか決めているの? お兄様なんて超優良物件よ。顔良し、頭良し、腹黒さもバッチリ。もれなく『わたくし』という可愛い妹付きだなんて、最高よ!」

「はは、ははは……、ノア王太子殿下はパスですぅぅぅ」

「何よ! お兄様の何が嫌なのよ!?」

「嫌というか、苦手といいますか……、実は、心に決めた方がいますの。だからノア王太子殿下との婚約は無理です。あのぉ、そのぉ……、リアム様と恋仲になりまして」

「はっ!? いつの間にそんな事になったのよ!!!!」

 その後、興奮しきりのクレアにアイシャは、リアムとの船旅での出来事を全て聞き出されてしまった。
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