転生アラサー腐女子はモブですから!?
「その内わかる事ですのでお伝えしますが、わたくし、リアム様からの求婚を受けることに致しました」
「それは、アイシャがリアムを好きになったと受け取っていいのかな?」
「――――はい。今回の婚約話に関しては、誰を選ぶかはわたくしの一存と聞いております。両親からもわたくしが良いと思う方と婚約しなさいと言われました」
「そうだね。アイシャの気持ち次第だ」
「皆さまと過ごした一週間。リアム様と過ごしたことで、彼のことを昔から好きだったのだと、気づきました。許されるのであれば、リアム様の元へ嫁ぎたいと考えております。どうかリアム様との結婚を王家として、許しては頂けないでしょうか」
「アイシャは知っているのかい? 貴方とリアムの結婚に関して王家の許可は必要ないよ。私は既にアイシャの婚約者候補を降りているからね。婚約者候補でない者の許可は必要ない。後はナイトレイ侯爵家が認めるか、キースがアイシャの婚約者候補を降りれば、二人は結婚出来るよ」
「そうなのですか……、では、ナイトレイ侯爵家に許可を頂ければ、リアム様と結婚出来るのですね」
ノア王太子という大きな山をひとつ越え、ホッとしていたアイシャの耳に不穏な言葉が告げられる。
「しかし、ナイトレイ侯爵家との事は別として、アイシャとリアムの婚約はそう簡単に結べないと思うよ。風の噂で聞いたのだが、ドンファン伯爵家のグレイス嬢とリアムが、近々婚約を発表すると」
「えっ!? そんな噂……、ありえない。一週間前にリアム様と婚約を約束したのです。何かの間違いでは有りませんか?」
「いやぁ~、詳しいことは分からないが……、アイシャはグレイス嬢の噂を知っているかい?」
「――――グレイス嬢の噂?」
「あぁ、グレイス嬢が『白き魔女』の力を持つと、社交界で流れている噂だよ。『白き魔女の恩恵を受けし伴侶は世界の覇者になる』この国に昔から伝わる伝承は知っているかな?」
「えぇ、まぁ。ただ、それは御伽噺ですよね。『白き魔女』も物語りの中の存在だとばかり思っていましたが……」
「その白き魔女が本当に復活したとしたらどうなるだろう。権力欲の強い貴族が、グレイス嬢を手に入れるため、動いてもおかしくない」
「確かに……、しかし、それとリアム様との婚約に何の関係が?」
「ウェスト侯爵は、宰相を務める国の重鎮だ。すこぶる頭の切れる男でもある。先手を打つため、リアムをグレイス嬢の婚約者としてドンファン伯爵家へ打診するなんて、ありえる話さ。特に権力欲の強い侯爵ならやりそうなことだ。アイシャとの婚約話は、社交界に正式に発表されたわけではないだろう?」
事の重大さに唖然としてしまい、言葉が出て来ない。
「嘘でしょ……」
「直ぐにリアムに確認した方がいい。別れるにしても傷は浅い方がいいからね」
ノア王太子の言葉が、アイシャの頭の中をくるくると回る。
(本当にリアムは、グレイス嬢と婚約するの?)
船上でリアムと婚約の約束をしたのは、たった一週間前のことなのだ。何かの間違いに決まっている。
間違いであって欲しいと思う気持ちとは裏腹に、嫌な予感が頭の中で警鐘を鳴らす。
両親に早くリアムとの婚約を伝えなくてはならない。彼からは、まだ伝えてはダメだと言われているが、今はそんな事を言っている場合ではない。
アイシャは流行る気持ちを抑え、ノア王太子への挨拶もそこそこに、その場を去ると、リンベル伯爵家へと馬車を走らせた。
「それは、アイシャがリアムを好きになったと受け取っていいのかな?」
「――――はい。今回の婚約話に関しては、誰を選ぶかはわたくしの一存と聞いております。両親からもわたくしが良いと思う方と婚約しなさいと言われました」
「そうだね。アイシャの気持ち次第だ」
「皆さまと過ごした一週間。リアム様と過ごしたことで、彼のことを昔から好きだったのだと、気づきました。許されるのであれば、リアム様の元へ嫁ぎたいと考えております。どうかリアム様との結婚を王家として、許しては頂けないでしょうか」
「アイシャは知っているのかい? 貴方とリアムの結婚に関して王家の許可は必要ないよ。私は既にアイシャの婚約者候補を降りているからね。婚約者候補でない者の許可は必要ない。後はナイトレイ侯爵家が認めるか、キースがアイシャの婚約者候補を降りれば、二人は結婚出来るよ」
「そうなのですか……、では、ナイトレイ侯爵家に許可を頂ければ、リアム様と結婚出来るのですね」
ノア王太子という大きな山をひとつ越え、ホッとしていたアイシャの耳に不穏な言葉が告げられる。
「しかし、ナイトレイ侯爵家との事は別として、アイシャとリアムの婚約はそう簡単に結べないと思うよ。風の噂で聞いたのだが、ドンファン伯爵家のグレイス嬢とリアムが、近々婚約を発表すると」
「えっ!? そんな噂……、ありえない。一週間前にリアム様と婚約を約束したのです。何かの間違いでは有りませんか?」
「いやぁ~、詳しいことは分からないが……、アイシャはグレイス嬢の噂を知っているかい?」
「――――グレイス嬢の噂?」
「あぁ、グレイス嬢が『白き魔女』の力を持つと、社交界で流れている噂だよ。『白き魔女の恩恵を受けし伴侶は世界の覇者になる』この国に昔から伝わる伝承は知っているかな?」
「えぇ、まぁ。ただ、それは御伽噺ですよね。『白き魔女』も物語りの中の存在だとばかり思っていましたが……」
「その白き魔女が本当に復活したとしたらどうなるだろう。権力欲の強い貴族が、グレイス嬢を手に入れるため、動いてもおかしくない」
「確かに……、しかし、それとリアム様との婚約に何の関係が?」
「ウェスト侯爵は、宰相を務める国の重鎮だ。すこぶる頭の切れる男でもある。先手を打つため、リアムをグレイス嬢の婚約者としてドンファン伯爵家へ打診するなんて、ありえる話さ。特に権力欲の強い侯爵ならやりそうなことだ。アイシャとの婚約話は、社交界に正式に発表されたわけではないだろう?」
事の重大さに唖然としてしまい、言葉が出て来ない。
「嘘でしょ……」
「直ぐにリアムに確認した方がいい。別れるにしても傷は浅い方がいいからね」
ノア王太子の言葉が、アイシャの頭の中をくるくると回る。
(本当にリアムは、グレイス嬢と婚約するの?)
船上でリアムと婚約の約束をしたのは、たった一週間前のことなのだ。何かの間違いに決まっている。
間違いであって欲しいと思う気持ちとは裏腹に、嫌な予感が頭の中で警鐘を鳴らす。
両親に早くリアムとの婚約を伝えなくてはならない。彼からは、まだ伝えてはダメだと言われているが、今はそんな事を言っている場合ではない。
アイシャは流行る気持ちを抑え、ノア王太子への挨拶もそこそこに、その場を去ると、リンベル伯爵家へと馬車を走らせた。