転生アラサー腐女子はモブですから!?
「アイシャ! 大丈夫!? 顔が真っ青だわ。ルイ、此処はいいから。わたくしが、アイシャの側に居ますので」
母の言葉を受け、父が部屋を退室したことにすら気づかない程に、放心状態となったアイシャを母が抱きしめる。
「アイシャ、今は何も考えなくていいわ。キース様との婚約のことも考える必要はないわ。泣きたければ、思いっきり泣きなさい。その方が楽になるから。今は我慢してはダメよ」
「お母様、わたくしリアム様に捨てられたの?」
一点を見つめ放心状態のアイシャの瞳が、すがるように母の瞳を見つめる。アイシャの言葉に母の顔が、衝撃を受けたかのように歪み、その顔が全てを物語っていた。
(ノア王太子の言っていた通りなのね。私はリアムに捨てられた……)
一週間前は、あんなに幸せだったのに。長年の恋心をやっと自覚して、これからリアムとの幸せな未来が待っていると思っていた。それなのに、現実は違ったのだ。
(私……、リアムに、裏切られたのね……)
限界だった。
涙が後から後から溢れ出し、止めることが出来ない。
泣き崩れたアイシャを母は何も言わず、いつまでも抱きしめてくれた。
数日後、社交界に二つの婚約が発表された。一つは、ノア王太子殿下とリンゼン侯爵家のアナベルの婚約。そして、もう一つは、ウェスト侯爵家のリアムとドンファン伯爵家のグレイスとの婚約だった。
『白き魔女』として社交界で認知され始めたグレイスの婚約は、社交界に衝撃をもたらした。その陰で、リンベル伯爵家のアイシャは、『本人に欠陥があり、二人の貴公子から見放され、婚約話が立ち消えたのではないか』と、悪い噂が流れるようになった。
母の言葉を受け、父が部屋を退室したことにすら気づかない程に、放心状態となったアイシャを母が抱きしめる。
「アイシャ、今は何も考えなくていいわ。キース様との婚約のことも考える必要はないわ。泣きたければ、思いっきり泣きなさい。その方が楽になるから。今は我慢してはダメよ」
「お母様、わたくしリアム様に捨てられたの?」
一点を見つめ放心状態のアイシャの瞳が、すがるように母の瞳を見つめる。アイシャの言葉に母の顔が、衝撃を受けたかのように歪み、その顔が全てを物語っていた。
(ノア王太子の言っていた通りなのね。私はリアムに捨てられた……)
一週間前は、あんなに幸せだったのに。長年の恋心をやっと自覚して、これからリアムとの幸せな未来が待っていると思っていた。それなのに、現実は違ったのだ。
(私……、リアムに、裏切られたのね……)
限界だった。
涙が後から後から溢れ出し、止めることが出来ない。
泣き崩れたアイシャを母は何も言わず、いつまでも抱きしめてくれた。
数日後、社交界に二つの婚約が発表された。一つは、ノア王太子殿下とリンゼン侯爵家のアナベルの婚約。そして、もう一つは、ウェスト侯爵家のリアムとドンファン伯爵家のグレイスとの婚約だった。
『白き魔女』として社交界で認知され始めたグレイスの婚約は、社交界に衝撃をもたらした。その陰で、リンベル伯爵家のアイシャは、『本人に欠陥があり、二人の貴公子から見放され、婚約話が立ち消えたのではないか』と、悪い噂が流れるようになった。