転生アラサー腐女子はモブですから!?
「母上! 俺はアイシャと二人で会うことを許可した覚えはありませんよ。アイシャ、遅くなり申し訳ありません。母がアイシャをエントランスで勝手に迎えていると知り、慌てました。訪問時間は、午後だったはずでは?」
「えっ!? お迎えの馬車も、時間通りでしたが?」
見上げた先に見たキースの顔が強張り、眼光鋭くマーサをキースが見据える。
「母上、謀りましたね?」
「お黙りなさい! 母に向かって謀ったとは何事ですか!! わたくしは、アイシャ様が家で伏せっていると聞いても、ウジウジと手をこまねき行動を起こさない貴方を心配し、一計を案じたのです」
「母上、それが余計なことだと言っているのです!」
「なんですって!? キース、そこになおりなさい!! 今やアイシャ様の婚約者候補はキース、ただ一人という絶好の機会をものに出来ていないのは、誰ですか! ナイトレイ侯爵家の次期当主としても恥ずかしい。少しは男女の駆け引きも学びなさい!」
立ち上がりキースを睨みつけ、叱るマーサの迫力に圧倒される。可愛らしい女性だとばかり思っていたが、キースを説教する姿は、さすがナイトレイ侯爵夫人だと思わせるだけの貫禄があった。
「しかし……、母上が俺だけでなく、アイシャまで騙したことに、変わりありませんよ。俺は良いですが、アイシャには、きちんと謝って下さい。いきなりナイトレイ侯爵夫人に、事前の説明もなく出迎えられれば誰だって驚き、緊張もします。それに、母上は他人に容赦ありませんから」
「まっ!! 失礼な……」
マーサの説教にも動じないキースの姿もまた、ナイトレイ侯爵家の次期当主としての貫禄を兼ね備えている。どちらも一歩も引かない言い合いを続ける二人を眺め、アイシャは恐るおそる声をかける。
「あのぉ、わたくし大丈夫です。女同士、楽しいお話も出来ましたし、キース様も落ち着いてくださいませ」
目の前の親子ゲンカに居たたまれなくなり助け舟を出したアイシャだったが、次に続いたマーサの言葉に、墓穴を掘ったことに気づいた。
「まぁ~、なんて良い娘なの! 直ぐにお嫁に来てもらいたいわぁ。ナイトレイ侯爵家は男ばかりで嫌になっちゃう。アイシャ様、明日にでもナイトレイ侯爵家にいらっしゃい。大歓迎だわぁ~」
「母上、いい加減になさいませ! アイシャが困惑しますから!!」
しびれを切らしたキースが、背後に控えていた屈強な使用人へと指示を出す。指示を受けた使用人は機敏に動き、マーサの両脇を抱え、あっという間に連れ去る。
(前にも似たような光景を見たような気が……)
既視感を覚えつつ、マーサをニコニコ顔で見送るキースを見て、アイシャはコソッとため息をついた。
「えっ!? お迎えの馬車も、時間通りでしたが?」
見上げた先に見たキースの顔が強張り、眼光鋭くマーサをキースが見据える。
「母上、謀りましたね?」
「お黙りなさい! 母に向かって謀ったとは何事ですか!! わたくしは、アイシャ様が家で伏せっていると聞いても、ウジウジと手をこまねき行動を起こさない貴方を心配し、一計を案じたのです」
「母上、それが余計なことだと言っているのです!」
「なんですって!? キース、そこになおりなさい!! 今やアイシャ様の婚約者候補はキース、ただ一人という絶好の機会をものに出来ていないのは、誰ですか! ナイトレイ侯爵家の次期当主としても恥ずかしい。少しは男女の駆け引きも学びなさい!」
立ち上がりキースを睨みつけ、叱るマーサの迫力に圧倒される。可愛らしい女性だとばかり思っていたが、キースを説教する姿は、さすがナイトレイ侯爵夫人だと思わせるだけの貫禄があった。
「しかし……、母上が俺だけでなく、アイシャまで騙したことに、変わりありませんよ。俺は良いですが、アイシャには、きちんと謝って下さい。いきなりナイトレイ侯爵夫人に、事前の説明もなく出迎えられれば誰だって驚き、緊張もします。それに、母上は他人に容赦ありませんから」
「まっ!! 失礼な……」
マーサの説教にも動じないキースの姿もまた、ナイトレイ侯爵家の次期当主としての貫禄を兼ね備えている。どちらも一歩も引かない言い合いを続ける二人を眺め、アイシャは恐るおそる声をかける。
「あのぉ、わたくし大丈夫です。女同士、楽しいお話も出来ましたし、キース様も落ち着いてくださいませ」
目の前の親子ゲンカに居たたまれなくなり助け舟を出したアイシャだったが、次に続いたマーサの言葉に、墓穴を掘ったことに気づいた。
「まぁ~、なんて良い娘なの! 直ぐにお嫁に来てもらいたいわぁ。ナイトレイ侯爵家は男ばかりで嫌になっちゃう。アイシャ様、明日にでもナイトレイ侯爵家にいらっしゃい。大歓迎だわぁ~」
「母上、いい加減になさいませ! アイシャが困惑しますから!!」
しびれを切らしたキースが、背後に控えていた屈強な使用人へと指示を出す。指示を受けた使用人は機敏に動き、マーサの両脇を抱え、あっという間に連れ去る。
(前にも似たような光景を見たような気が……)
既視感を覚えつつ、マーサをニコニコ顔で見送るキースを見て、アイシャはコソッとため息をついた。