転生アラサー腐女子はモブですから!?
ゆっくりとしたワルツが誰もいないバルコニーに流れ込み、音楽に合わせてクルクルと回る。誰もいないバルコニーで、人目も気にせず踊るダンスは、思いの外楽しかった。彼のリードに体を預け、ステップを踏みながらクルクルと回るのは、まるで宙を舞っているかのように軽い。
だから、周りを見る余裕もあったのだろう。
「――――っ!!」
バルコニーから階下の庭園で抱き合うカップル。ピンクブロンドの髪の可愛らしい女性を見つめ、口づけを落とす赤髪の男性。
一瞬でリアムだと分かってしまった。
あまりの衝撃にステップを踏み間違え、足をもつれさせる。倒れる寸前のところをキースに抱き留められるが、何も言葉が出てこない。
「アイシャ大丈夫か!?」
キースの腕に抱かれ、激しく混乱したアイシャは涙を止めることが出来ない。胸へ顔を埋め、泣きじゃくるアイシャを抱き上げたキースが、早足にその場を後にする。
「アイシャ、帰ろう。これ以上、貴方が傷つくのを見ていたくない」
泣きじゃくるアイシャを胸に抱き、その場を後にしたキースを興味津々と見つめ、囁き合う人々の声も耳に入らないほどアイシャの頭の中は混乱していた。
(リアムが、他の女とキスをしていた……)
ドス黒い感情がアイシャの心を支配していく。あの二人の幸せを願えるほど、アイシャの心は広くない。
(この感情を何処へぶつければ、楽になれるの? リアムは私のものだと、あの女に叫べば気が済むの?)
ただ涙を流すことしか出来ない己の不甲斐なさが一番辛かった。
だから、周りを見る余裕もあったのだろう。
「――――っ!!」
バルコニーから階下の庭園で抱き合うカップル。ピンクブロンドの髪の可愛らしい女性を見つめ、口づけを落とす赤髪の男性。
一瞬でリアムだと分かってしまった。
あまりの衝撃にステップを踏み間違え、足をもつれさせる。倒れる寸前のところをキースに抱き留められるが、何も言葉が出てこない。
「アイシャ大丈夫か!?」
キースの腕に抱かれ、激しく混乱したアイシャは涙を止めることが出来ない。胸へ顔を埋め、泣きじゃくるアイシャを抱き上げたキースが、早足にその場を後にする。
「アイシャ、帰ろう。これ以上、貴方が傷つくのを見ていたくない」
泣きじゃくるアイシャを胸に抱き、その場を後にしたキースを興味津々と見つめ、囁き合う人々の声も耳に入らないほどアイシャの頭の中は混乱していた。
(リアムが、他の女とキスをしていた……)
ドス黒い感情がアイシャの心を支配していく。あの二人の幸せを願えるほど、アイシャの心は広くない。
(この感情を何処へぶつければ、楽になれるの? リアムは私のものだと、あの女に叫べば気が済むの?)
ただ涙を流すことしか出来ない己の不甲斐なさが一番辛かった。