転生アラサー腐女子はモブですから!?
――――あっ! 立ち上がった。
カフェを出たアイシャは、二人を監視出来る路地の壁に張りつき、息をひそめ、二人の様子を伺う。すると、肩を抱かれたグレイスが、男に促され立ち上がると、二人寄り添い歩き出した。
(行っちゃう……)
アイシャは被っていたつば広帽子を深く被り直し、慌てて追いかける。適度な距離を保ちながら二人の後を追いかけるのは難しい。いつ振り向かれるかビクビクしながら後をつけていたアイシャだったが、グレイスと相手の男は、二人の世界に入っているのかアイシャの存在に気づきもしない。時折り顔を寄せ合い、歩きながらキスをしているようにも見える。
(くっそぉぉ! 私がこんなに苦しんでいるのに、お前らは良い身分だな!! 白昼堂々とイチャつきやがって!!!! あぁぁぁぁ、どうしてやろうか……)
すでにアイシャの頭の中は、相手の男はリアムで決定していた。肩を怒らせ、足を踏み鳴らし歩くアイシャは、すっかり尾行していることを忘れていた。すれ違う人々が、何事かと凝視して行くが、怒り心頭のアイシャは気づかない。
(あっ! 曲がっちゃう!!)
アイシャは二人を見失わないように駆け出し、路地を曲がる。
(――――いない。どこ行ったのかしら?)
狭い路地を見渡すが、先程まで歩いていた二人の姿は何処にも見えない。
(ここって……、マズいかもしれない……)
二人の行為を余す事なく見つめ歩いていたアイシャは、周りを見ていなかった。いつの間にか人通りがなく、寂れた雰囲気の裏路地に来ていた。
(早く大通りに戻らないと!)
慌てて振り返り、元来た道を戻ろうとした時だった。
「ちょっと待ちなよ、嬢ちゃん。そんなに急いで帰らなくてもいいだろう。俺たちと一緒に遊ぼうや」
アイシャの目の前には柄の悪い男、三人組が道を塞ぐように立っていた。
(あちゃぁぁぁ、マズ過ぎるぅぅぅ……)
目の前の男達の内、二人はヒョロっとしていて、あまり強そうには見えない。棒状の物があれば何とか打撃を与えて、逃げるだけなら出来そうだ。しかし、真ん中の巨漢男は無理だ。女の細腕で太刀打ち出来る相手ではない。
ニタニタと笑いながらゆっくり近づいて来る男達に、アイシャも後退するが、限界はある。
「申し訳ございませんが、わたくし急ぎますので其処を退いてはくださいませんか?」
無理だろうなぁ~と思いつつ言ってみるが、馬鹿にしたようにゲラゲラと笑われるだけだ。
叫んだ所で、誰も助けに来ないだろう。
一か八か、やるしかない。
奴等が油断している今がチャンスだ。
アイシャは鞄に忍ばせていた護身用の短剣を手に持つと、背中に隠しゆっくりと三人の男達へ近づいて行く。
(皮肉よね。リアムに昔もらった短剣が、役に立つ時が来るなんて……)
欠かさず手入れをし、今では短剣として実戦でも使えるように研ぎ直してある。本当、未練タラタラもいいところだ。
(これで逃げられなかったら、末代までリアムを恨んでやるんだから!!)
リアムへの恨み言をつぶやきながら、変な気合を入れたアイシャは、目の前のゴロツキ共を見据え、走り出した。
カフェを出たアイシャは、二人を監視出来る路地の壁に張りつき、息をひそめ、二人の様子を伺う。すると、肩を抱かれたグレイスが、男に促され立ち上がると、二人寄り添い歩き出した。
(行っちゃう……)
アイシャは被っていたつば広帽子を深く被り直し、慌てて追いかける。適度な距離を保ちながら二人の後を追いかけるのは難しい。いつ振り向かれるかビクビクしながら後をつけていたアイシャだったが、グレイスと相手の男は、二人の世界に入っているのかアイシャの存在に気づきもしない。時折り顔を寄せ合い、歩きながらキスをしているようにも見える。
(くっそぉぉ! 私がこんなに苦しんでいるのに、お前らは良い身分だな!! 白昼堂々とイチャつきやがって!!!! あぁぁぁぁ、どうしてやろうか……)
すでにアイシャの頭の中は、相手の男はリアムで決定していた。肩を怒らせ、足を踏み鳴らし歩くアイシャは、すっかり尾行していることを忘れていた。すれ違う人々が、何事かと凝視して行くが、怒り心頭のアイシャは気づかない。
(あっ! 曲がっちゃう!!)
アイシャは二人を見失わないように駆け出し、路地を曲がる。
(――――いない。どこ行ったのかしら?)
狭い路地を見渡すが、先程まで歩いていた二人の姿は何処にも見えない。
(ここって……、マズいかもしれない……)
二人の行為を余す事なく見つめ歩いていたアイシャは、周りを見ていなかった。いつの間にか人通りがなく、寂れた雰囲気の裏路地に来ていた。
(早く大通りに戻らないと!)
慌てて振り返り、元来た道を戻ろうとした時だった。
「ちょっと待ちなよ、嬢ちゃん。そんなに急いで帰らなくてもいいだろう。俺たちと一緒に遊ぼうや」
アイシャの目の前には柄の悪い男、三人組が道を塞ぐように立っていた。
(あちゃぁぁぁ、マズ過ぎるぅぅぅ……)
目の前の男達の内、二人はヒョロっとしていて、あまり強そうには見えない。棒状の物があれば何とか打撃を与えて、逃げるだけなら出来そうだ。しかし、真ん中の巨漢男は無理だ。女の細腕で太刀打ち出来る相手ではない。
ニタニタと笑いながらゆっくり近づいて来る男達に、アイシャも後退するが、限界はある。
「申し訳ございませんが、わたくし急ぎますので其処を退いてはくださいませんか?」
無理だろうなぁ~と思いつつ言ってみるが、馬鹿にしたようにゲラゲラと笑われるだけだ。
叫んだ所で、誰も助けに来ないだろう。
一か八か、やるしかない。
奴等が油断している今がチャンスだ。
アイシャは鞄に忍ばせていた護身用の短剣を手に持つと、背中に隠しゆっくりと三人の男達へ近づいて行く。
(皮肉よね。リアムに昔もらった短剣が、役に立つ時が来るなんて……)
欠かさず手入れをし、今では短剣として実戦でも使えるように研ぎ直してある。本当、未練タラタラもいいところだ。
(これで逃げられなかったら、末代までリアムを恨んでやるんだから!!)
リアムへの恨み言をつぶやきながら、変な気合を入れたアイシャは、目の前のゴロツキ共を見据え、走り出した。