転生アラサー腐女子はモブですから!?
絶望的な状況にあきらめかけた時、脇道から一人の男がフラッと出て来て、アイシャへと向かい歩いて来る。目深に帽子を被っているため、表情までは分からない。しかし、その男はしっかりとした足取りでアイシャへと近づいてくる。まるで、彼女自身が目的であるかのように真っ直ぐと。
(アイツらの仲間ってこと、ないわよねぇ?)
わずかな希望と、胸に巣くった大きな不安がせめぎ合い、アイシャの喉がゴクリっと鳴る。アイシャを卑下た笑みを浮かべ見据えている男達は、背後からゆっくりと近づいて来る男に気づかない。
敵なのか味方なのか、様子を伺うしかないと思った瞬間、突如帽子の男が走り出し、一番近くにいた巨漢男に足払いをかけ倒すと、低い姿勢のままヒョロ男のわき腹目掛けてパンチを繰り出す。余程深く入ったのか腹を抱え苦悶の表情を浮かべた男が膝から崩れ落ちる。そこを、間髪いれずに、くず折れた男の顔面を蹴り上げ、その横で起き上がろうとしていた巨漢男の首を抱えると、捻りあげた。首があらぬ方向へと曲がり、息が出来ないのか巨漢男は白目をむき、泡を噴いてそのまま倒れた。
二人が倒されるまでにわずか数分。華麗な攻撃に、アイシャは自身の状況も忘れ見入っていた。
目の前のヒョロ男も、この時になり、ようやく異変に気づいた。背後を振り向き、仲間二人が倒れているのを見て顔色が変わる。瞬時に、帽子の男との実力差を感じたのだろう。
「――――っひっ!!」
アイシャが気づいた時には、ヒョロ男に羽交い締めにされ、首元に短剣の刃を当てられていた。
「……こ、この女がどうなってもいいのか? 一歩でも近づいてみろ。こ、殺すぞ!!」
アイシャを羽交い締めにしたヒョロ男は、アイシャを引きずりながら、帽子男と距離をとる。
「その女性に少しでも傷をつけてみろ……、殺す!!」
目の前の帽子の男の殺気が膨れ上がる。
羽交い締めにしているヒョロ男の手が小刻みに震え出す。実力差は明らかだが、今なら逃げられるかもしれない。
ヒョロ男の腹目掛け、アイシャは力一杯、肘鉄を喰らわせた。
短剣を持ったヒョロ男の手が、突然の攻撃に驚き、短剣を取り落とす。その一瞬の隙を逃さず、無我夢中で暴れヒョロ男の腕から逃れたアイシャは、帽子男の方へ駆け出す。
帽子男とすれ違い、振り向いた時には決着がついていた。アイシャを羽交い締めにしていたヒョロ男は脇腹から血を流し、倒れていた。
帽子が地面を転がり、赤髪が風になびく。
「――――っ嘘……、リアムなの……」
倒れたヒョロ男の脇に立ち、アイシャの短剣を握っていたのは、紛れもなくリアムだった。
(なぜ、貴方が私を助けるのよ……)
短剣を持つリアムと視線が絡み合う。
アイシャは、目の前の光景が信じられず、茫然自失のまま立ち尽くす。
――――貴方は私を捨てたはずじゃなかったの?
(アイツらの仲間ってこと、ないわよねぇ?)
わずかな希望と、胸に巣くった大きな不安がせめぎ合い、アイシャの喉がゴクリっと鳴る。アイシャを卑下た笑みを浮かべ見据えている男達は、背後からゆっくりと近づいて来る男に気づかない。
敵なのか味方なのか、様子を伺うしかないと思った瞬間、突如帽子の男が走り出し、一番近くにいた巨漢男に足払いをかけ倒すと、低い姿勢のままヒョロ男のわき腹目掛けてパンチを繰り出す。余程深く入ったのか腹を抱え苦悶の表情を浮かべた男が膝から崩れ落ちる。そこを、間髪いれずに、くず折れた男の顔面を蹴り上げ、その横で起き上がろうとしていた巨漢男の首を抱えると、捻りあげた。首があらぬ方向へと曲がり、息が出来ないのか巨漢男は白目をむき、泡を噴いてそのまま倒れた。
二人が倒されるまでにわずか数分。華麗な攻撃に、アイシャは自身の状況も忘れ見入っていた。
目の前のヒョロ男も、この時になり、ようやく異変に気づいた。背後を振り向き、仲間二人が倒れているのを見て顔色が変わる。瞬時に、帽子の男との実力差を感じたのだろう。
「――――っひっ!!」
アイシャが気づいた時には、ヒョロ男に羽交い締めにされ、首元に短剣の刃を当てられていた。
「……こ、この女がどうなってもいいのか? 一歩でも近づいてみろ。こ、殺すぞ!!」
アイシャを羽交い締めにしたヒョロ男は、アイシャを引きずりながら、帽子男と距離をとる。
「その女性に少しでも傷をつけてみろ……、殺す!!」
目の前の帽子の男の殺気が膨れ上がる。
羽交い締めにしているヒョロ男の手が小刻みに震え出す。実力差は明らかだが、今なら逃げられるかもしれない。
ヒョロ男の腹目掛け、アイシャは力一杯、肘鉄を喰らわせた。
短剣を持ったヒョロ男の手が、突然の攻撃に驚き、短剣を取り落とす。その一瞬の隙を逃さず、無我夢中で暴れヒョロ男の腕から逃れたアイシャは、帽子男の方へ駆け出す。
帽子男とすれ違い、振り向いた時には決着がついていた。アイシャを羽交い締めにしていたヒョロ男は脇腹から血を流し、倒れていた。
帽子が地面を転がり、赤髪が風になびく。
「――――っ嘘……、リアムなの……」
倒れたヒョロ男の脇に立ち、アイシャの短剣を握っていたのは、紛れもなくリアムだった。
(なぜ、貴方が私を助けるのよ……)
短剣を持つリアムと視線が絡み合う。
アイシャは、目の前の光景が信じられず、茫然自失のまま立ち尽くす。
――――貴方は私を捨てたはずじゃなかったの?