転生アラサー腐女子はモブですから!?
「アイシャ!!」
激しい足音と共に、バタンと大きな音を立て、開け放たれた扉から入って来たのは、焦り顔のキースだった。どうやらココは、ナイトレイ侯爵家と縁のある家らしい。
「アイシャ、体調は?」
ベッド脇に駆け込んできたキースが膝をつき、アイシャの顔を覗き込む。
「顔色は悪くないようだが、痛むところは?」
ち、近いぃぃぃぃぃ……、美麗なキースの顔面アップは寝起きの頭には強烈過ぎるのよ……
アイシャの頬に、みるみると熱がたまっていく。
はぁぁ、もう少し離れて……
「顔が赤い。熱があるのか?」
キースの指先がアイシャの頬を撫で、額に大きな手が乗せられる。
「う~ん……、熱は無さそうだが……」
憤死するぅぅぅぅ……
無意識でやっているであろうキースの悪戯な行為に、アイシャの顔は湯気が出そうなほど真っ赤だ。
「――――キ、キース様!!」
「何? アイシャ……」
「は、離れて下さい……」
「えっ!? どうして?」
「近いですから……」
アイシャは小声でそれだけ言うと布団を顔まで上げて、なんとかキースの顔面アップから逃れようと試みる。しかし、突然伸びてきた彼の手に布団を掴まれ阻まれてしまった。
キースとの布団の攻防戦に負けたアイシャは、抗議するべく見上げた先の彼の笑顔を見て、固まった。
目が笑っていない。笑顔だけど、目がまったく笑っていないのだ。
怖いよぉぉ。どうして、キースは怒っているのよ?
キースが怒っている理由がわからず、右往左往するアイシャの様子を目にとめたキースが笑みを浮かべ、さらにアイシャへと顔を近づける。
「アイシャに拒否権はないよ。一人で町に出て、迂闊な行動をとり、危険な目にあった。どれだけ心配したと思っているんだ。危うく命を失うところだったんだぞ!!」
「ごめんなさい……」
真剣な眼差しのキースに諭され、頬を両手で包み込まれる。
「もう、あんな思いは二度と御免だ。今後、絶対に無茶はしないでくれ。アイシャが普通の貴族令嬢とは違い、自由に行動したいと思っている事は理解している。自由な発想に、行動力こそがアイシャの最大の魅力だと言う事も。だからこそ心配にもなるんだ……」
さっきまで黒い笑みを浮かべていたキースの顔が真剣なものへと変わり、アイシャを諭すように言葉が紡がれる。
「今回はたまたま助けが入ったから良かったものの、毎回幸運に恵まれるとは限らない。自由な行動と無鉄砲な行動とでは、意味が違う。自由な行動には必ず責任が伴う。自由だからこそ慎重に行動しなければならない。貴方が思っている以上に外の世界は汚いし、危険なんて、そこら中に転がっている」
目の前のキースの顔が、辛そうに歪む。
「慎重に行動出来ないのなら、貴方を囲うしかない。四六時中監視して此処から出せなくなってしまう。でも、自由に生きるアイシャだから、愛しているのも事実なんだ。アイシャが大切なんだ。貴方が死んでしまったら正気ではいられない。アイシャ、約束してくれ……、もう無茶だけはしないと。貴方を失うのが本当に怖い!!」
こんな泣きそうなキースの顔、見たことない。
沢山、心配をかけてしまった。
キースを悲しませ、リアムを危険に晒してしまった。無鉄砲な行動のせいで、沢山の人に迷惑をかけてしまった。
キースの言う通り、自由な行動には責任を伴う。周りの状況を見て、冷静に判断出来る状態でなければ、簡単に罠に引っ掛かり命を落とす。それだけではない。無関係な人まで、危険に晒してしまう可能性すらある。
(私は、なんて事をしてしまったのだろう……)
涙が一筋、アイシャの頬を伝って落ちていく。
激しい足音と共に、バタンと大きな音を立て、開け放たれた扉から入って来たのは、焦り顔のキースだった。どうやらココは、ナイトレイ侯爵家と縁のある家らしい。
「アイシャ、体調は?」
ベッド脇に駆け込んできたキースが膝をつき、アイシャの顔を覗き込む。
「顔色は悪くないようだが、痛むところは?」
ち、近いぃぃぃぃぃ……、美麗なキースの顔面アップは寝起きの頭には強烈過ぎるのよ……
アイシャの頬に、みるみると熱がたまっていく。
はぁぁ、もう少し離れて……
「顔が赤い。熱があるのか?」
キースの指先がアイシャの頬を撫で、額に大きな手が乗せられる。
「う~ん……、熱は無さそうだが……」
憤死するぅぅぅぅ……
無意識でやっているであろうキースの悪戯な行為に、アイシャの顔は湯気が出そうなほど真っ赤だ。
「――――キ、キース様!!」
「何? アイシャ……」
「は、離れて下さい……」
「えっ!? どうして?」
「近いですから……」
アイシャは小声でそれだけ言うと布団を顔まで上げて、なんとかキースの顔面アップから逃れようと試みる。しかし、突然伸びてきた彼の手に布団を掴まれ阻まれてしまった。
キースとの布団の攻防戦に負けたアイシャは、抗議するべく見上げた先の彼の笑顔を見て、固まった。
目が笑っていない。笑顔だけど、目がまったく笑っていないのだ。
怖いよぉぉ。どうして、キースは怒っているのよ?
キースが怒っている理由がわからず、右往左往するアイシャの様子を目にとめたキースが笑みを浮かべ、さらにアイシャへと顔を近づける。
「アイシャに拒否権はないよ。一人で町に出て、迂闊な行動をとり、危険な目にあった。どれだけ心配したと思っているんだ。危うく命を失うところだったんだぞ!!」
「ごめんなさい……」
真剣な眼差しのキースに諭され、頬を両手で包み込まれる。
「もう、あんな思いは二度と御免だ。今後、絶対に無茶はしないでくれ。アイシャが普通の貴族令嬢とは違い、自由に行動したいと思っている事は理解している。自由な発想に、行動力こそがアイシャの最大の魅力だと言う事も。だからこそ心配にもなるんだ……」
さっきまで黒い笑みを浮かべていたキースの顔が真剣なものへと変わり、アイシャを諭すように言葉が紡がれる。
「今回はたまたま助けが入ったから良かったものの、毎回幸運に恵まれるとは限らない。自由な行動と無鉄砲な行動とでは、意味が違う。自由な行動には必ず責任が伴う。自由だからこそ慎重に行動しなければならない。貴方が思っている以上に外の世界は汚いし、危険なんて、そこら中に転がっている」
目の前のキースの顔が、辛そうに歪む。
「慎重に行動出来ないのなら、貴方を囲うしかない。四六時中監視して此処から出せなくなってしまう。でも、自由に生きるアイシャだから、愛しているのも事実なんだ。アイシャが大切なんだ。貴方が死んでしまったら正気ではいられない。アイシャ、約束してくれ……、もう無茶だけはしないと。貴方を失うのが本当に怖い!!」
こんな泣きそうなキースの顔、見たことない。
沢山、心配をかけてしまった。
キースを悲しませ、リアムを危険に晒してしまった。無鉄砲な行動のせいで、沢山の人に迷惑をかけてしまった。
キースの言う通り、自由な行動には責任を伴う。周りの状況を見て、冷静に判断出来る状態でなければ、簡単に罠に引っ掛かり命を落とす。それだけではない。無関係な人まで、危険に晒してしまう可能性すらある。
(私は、なんて事をしてしまったのだろう……)
涙が一筋、アイシャの頬を伝って落ちていく。