転生アラサー腐女子はモブですから!?
庭の一画にある小さな温室。ここは、母自ら手入れを行い、色とりどりの花が年中咲く、母自慢の温室だ。温室の扉を開けるだけで、芳しい花の香りが鼻腔をくすぐり、気持ちも華やぐ。
扉を抜け、温室内を歩いて行けば、椅子に腰掛けた母が、ゆったりとお茶を飲みながらアイシャを待っていた。
「お母様、遅くなりました」
「アイシャ、明日の準備はあらかた済んだみたいね。座って」
目の前の椅子に腰掛けると、母、手ずからお茶を入れてくれる。辺りを見回すが、人払いをされているのか給仕をする侍女すらいない。
「えぇ、滞りなく。あとは、明日のパーティーを待つばかりです」
「そう……」
沈黙が流れる。
「アイシャ、以前に貴方に言った言葉を覚えているかしら? 貴方が、高貴な御三方から求婚されて、婚約者を選ばざる負えなくなった時、わたくしは貴方に、誰を選ぶかは自ずとわかるものだと。心が訴えてくるものだと」
「はい。覚えております」
「――――、貴方の心にいる殿方はいったい誰なんでしょうね?」
「えっ!? …………」
「アイシャ。わたくし達家族は、貴方がこの先どんな選択をしようとも、貴方の味方です。心のままに生きなさい。貴方の幸せが、私達家族の幸せなのだから」
テーブルに置かれたアイシャの手に手を重ねた母が、アイシャの手を優しく握る。
お母さまは、私の心にキースがいないと気づいているのだろうか?
ずっと心に居座り続けるリアム……
小さな頃から、ずっと私の側に寄り添い助けてくれた存在。なぜか、気づいたら彼を目で追っていた。
リアムだけが特別な存在だった。
「アイシャ、泣かないで……」
後から後から流れる涙を、母に拭われる。
「お母さま……、ごめんなさい……」
「いいのよ。貴方の思うまま生きればいいの」
泣きじゃくるアイシャをいつまでも、母は抱きしめてくれた。
扉を抜け、温室内を歩いて行けば、椅子に腰掛けた母が、ゆったりとお茶を飲みながらアイシャを待っていた。
「お母様、遅くなりました」
「アイシャ、明日の準備はあらかた済んだみたいね。座って」
目の前の椅子に腰掛けると、母、手ずからお茶を入れてくれる。辺りを見回すが、人払いをされているのか給仕をする侍女すらいない。
「えぇ、滞りなく。あとは、明日のパーティーを待つばかりです」
「そう……」
沈黙が流れる。
「アイシャ、以前に貴方に言った言葉を覚えているかしら? 貴方が、高貴な御三方から求婚されて、婚約者を選ばざる負えなくなった時、わたくしは貴方に、誰を選ぶかは自ずとわかるものだと。心が訴えてくるものだと」
「はい。覚えております」
「――――、貴方の心にいる殿方はいったい誰なんでしょうね?」
「えっ!? …………」
「アイシャ。わたくし達家族は、貴方がこの先どんな選択をしようとも、貴方の味方です。心のままに生きなさい。貴方の幸せが、私達家族の幸せなのだから」
テーブルに置かれたアイシャの手に手を重ねた母が、アイシャの手を優しく握る。
お母さまは、私の心にキースがいないと気づいているのだろうか?
ずっと心に居座り続けるリアム……
小さな頃から、ずっと私の側に寄り添い助けてくれた存在。なぜか、気づいたら彼を目で追っていた。
リアムだけが特別な存在だった。
「アイシャ、泣かないで……」
後から後から流れる涙を、母に拭われる。
「お母さま……、ごめんなさい……」
「いいのよ。貴方の思うまま生きればいいの」
泣きじゃくるアイシャをいつまでも、母は抱きしめてくれた。