転生アラサー腐女子はモブですから!?
「一年ぶりだな。アイシャ、君ともう一度、話がしたかった。君に嫌われているのはわかっている。ただ、話すことは許してもらえないだろうか?」
耳元で響いた艶のある低音に振り向けば、青髪を後ろへと流し、幼い頃の記憶より精悍さが増したご尊顔を惜しみもなくさらし、切ない眼差しを向ける美丈夫のドアップがアイシャの目に飛び込んできた。
「キース様! なぜ……」
あまりの驚きに言葉が出てこない。そんなアイシャの様子に気づいているのか、いないのか、腰を抱いたキースに促され、アイシャは会場のど真ん中に逆戻りしていた。
(あぁぁぁ、私、OK出してませんけど!!)
そんな、アイシャの心の叫びは幸せそうに笑む、目の前の美丈夫には届かない。そして、アイシャの心の叫びも虚しく、ゆっくりとワルツが流れ出す。
(あらっ! キース様って意外にダンスもお上手ね。なんて、おちゃらけていないとやってらんないわよぉぉぉぉ。今日は厄日なのか?)
「ずっとアイシャに謝りたかったんだ。一年前。いいや、ずっと俺は君にひどい言葉を言い続けて来た。その事を、アイシャに会えない間ずっと考え、後悔していた」
そう言った、キースの瞳が切なそうに細められるが、アイシャの頭の中は、そんなキースの表情の変化を敏感に察知できるほどの余裕はない。
(この曲が終わったら、逃げる。そのための逃走経路の確認!)
「そう簡単に許してもらおうなんて考えていない。君の尊厳を傷つけ、あまつさえ女性の体に傷をつけるなんて許されないことだ」
「キース様。わたくし、あの時の事は全く気にしておりませんのよ」
(すでに、貴方さまのことは眼中にありませんので……)
「ですから、キース様もわたくしの事など気にせず自身の人生を謳歌くださいませ!」
(というか、今すぐ私を解放しろぉぉぉぉ)
キースもまた、ノア王太子に負けず劣らずの顔面偏差値の持ち主なのだ。令嬢達の視線が怖すぎる。
(もう周りを見る勇気もないわ………、よし! 曲が終わるぞ!! 即逃げよう)
「アイシャ、そういう訳にはいかない。君の苦しみを考えると辛いんだ! どうか俺に償わせてくれ。俺は! 君に騎士としての忠誠を誓う!!」
「――――はっ!? ちょちょちょ、ちょっと待って! 騎士の忠誠は、ただの令嬢に誓うものではないでしょう!!」
「いや、俺は決めたんだ! 生涯をアイシャのために捧げると」
「はは、ははは……、まるでプロポーズみた~い」
アイシャは、見事に地雷を踏み抜いた。
「そのつもりだ! アイシャ、俺と結婚してくれ!!」
そして、アイシャは自爆した。
二度目の放心状態へと到ったアイシャを抱き寄せたキースの腕の中、二曲目のワルツが始まる。
(はぁぁ、どうにでもなれ……)
あきらめの境地へと達したアイシャは、会場の響めきをBGMにクルクルとワルツを踊り続けた。
耳元で響いた艶のある低音に振り向けば、青髪を後ろへと流し、幼い頃の記憶より精悍さが増したご尊顔を惜しみもなくさらし、切ない眼差しを向ける美丈夫のドアップがアイシャの目に飛び込んできた。
「キース様! なぜ……」
あまりの驚きに言葉が出てこない。そんなアイシャの様子に気づいているのか、いないのか、腰を抱いたキースに促され、アイシャは会場のど真ん中に逆戻りしていた。
(あぁぁぁ、私、OK出してませんけど!!)
そんな、アイシャの心の叫びは幸せそうに笑む、目の前の美丈夫には届かない。そして、アイシャの心の叫びも虚しく、ゆっくりとワルツが流れ出す。
(あらっ! キース様って意外にダンスもお上手ね。なんて、おちゃらけていないとやってらんないわよぉぉぉぉ。今日は厄日なのか?)
「ずっとアイシャに謝りたかったんだ。一年前。いいや、ずっと俺は君にひどい言葉を言い続けて来た。その事を、アイシャに会えない間ずっと考え、後悔していた」
そう言った、キースの瞳が切なそうに細められるが、アイシャの頭の中は、そんなキースの表情の変化を敏感に察知できるほどの余裕はない。
(この曲が終わったら、逃げる。そのための逃走経路の確認!)
「そう簡単に許してもらおうなんて考えていない。君の尊厳を傷つけ、あまつさえ女性の体に傷をつけるなんて許されないことだ」
「キース様。わたくし、あの時の事は全く気にしておりませんのよ」
(すでに、貴方さまのことは眼中にありませんので……)
「ですから、キース様もわたくしの事など気にせず自身の人生を謳歌くださいませ!」
(というか、今すぐ私を解放しろぉぉぉぉ)
キースもまた、ノア王太子に負けず劣らずの顔面偏差値の持ち主なのだ。令嬢達の視線が怖すぎる。
(もう周りを見る勇気もないわ………、よし! 曲が終わるぞ!! 即逃げよう)
「アイシャ、そういう訳にはいかない。君の苦しみを考えると辛いんだ! どうか俺に償わせてくれ。俺は! 君に騎士としての忠誠を誓う!!」
「――――はっ!? ちょちょちょ、ちょっと待って! 騎士の忠誠は、ただの令嬢に誓うものではないでしょう!!」
「いや、俺は決めたんだ! 生涯をアイシャのために捧げると」
「はは、ははは……、まるでプロポーズみた~い」
アイシャは、見事に地雷を踏み抜いた。
「そのつもりだ! アイシャ、俺と結婚してくれ!!」
そして、アイシャは自爆した。
二度目の放心状態へと到ったアイシャを抱き寄せたキースの腕の中、二曲目のワルツが始まる。
(はぁぁ、どうにでもなれ……)
あきらめの境地へと達したアイシャは、会場の響めきをBGMにクルクルとワルツを踊り続けた。