転生アラサー腐女子はモブですから!?
王城での波乱に満ちた社交界デビューを終え、満身創痍で家に着いたアイシャを待っていたのは、トドメの一撃だった。王城から帰宅して早々、ドレスを着替える間もなく父に呼び出されたアイシャは、執務室へ入るなり感じた違和感に、逃げ出したくなった。
父と共にソファへと座る母の存在。
(嫌な予感がする……)
両親がそろい踏みで、笑みを浮かべ自分を待っている状況など、爆弾が落とされる前触れでしかない。
(回れ右をして、逃げてもいいかしら?)
そんなアイシャの焦りを敏感に察知した父に先手を打たれる。対面のソファへと座るように促されてしまえば、逃げ出すことも出来ない。そして、アイシャがソファへと座ったのを確認した母が、話を切り出した。
「アイシャ、デビュタントとして参加した夜会はどうでしたか?」
(やっぱり、その話よね)
「初めての王城での夜会で緊張しましたが、何とかやり過ごす事が出来ました。まぁ、多少のハプニングはありましたが、概ね問題なく過ごせたかと」
(イケメン三人とのアレやコレやは、話さない方が良いわよね)
言ったら最後、どんなお小言が待っているか分からない。デビュタントと言えども、アレはマズかったと自分でも理解している。事の重大さも。
「ダニエルから聞きましたが、ノア王太子殿下とキース・ナイトレイ侯爵子息、リアム・ウェスト侯爵子息と何かあった様ですね?」
「――――あっ!!」
(ドッキーン! バレてる、バレてる、絶対バレてるよぉ)
「はは、ははは……、いったい何の事でしょう?」
帰って早々、兄ダニエルの姿が見えないと思っていたら、きっちり報告に向かっていたらしい。
(あぁぁぁ、お兄さま!! なんて余計な事を)
事の重大さを理解しているだけに、これから始まるお説教が怖くて仕方がない。
数日後に、今夜の事件がバレるのと、今バレるのとでは精神的なダメージがケタ違いだ。色々あり過ぎた今夜くらいは妄想に浸りながら安らかに眠りたい。
最後の望みをかけて、アイシャはしらばっくれる事にした。
「あら? 何も無かったと。わたくしが聞いた話ですと、アイシャはノア王太子殿下とファーストダンスを踊り、続けて二曲目も一緒に踊ったとか。その後は、キース様とも二曲ダンスを踊り、どこぞの令嬢に絡まれているところをリアム様に助けられ、婚約者宣言されたとかなんとか。この話はアイシャではない別の令嬢の事だったのかしら?」
(全部バレてる、バレてるよぉ)
今更しらばっくれた事を後悔しても、あとの祭りだ。仕方ない。甘んじて叱られよう。
アイシャは目の前の両親を見て覚悟を決める。
「――――はい。今のお話は全てわたくしの事で間違いございません。なにぶん、右も左もわからないデビュタントだったもので、あれよあれよという間に、その様な事態になっておりました。申し訳ございませんでした」
ガバッと頭を下げたアイシャへ、一つため息をこぼした母が諭すように言葉を紡ぐ。
父と共にソファへと座る母の存在。
(嫌な予感がする……)
両親がそろい踏みで、笑みを浮かべ自分を待っている状況など、爆弾が落とされる前触れでしかない。
(回れ右をして、逃げてもいいかしら?)
そんなアイシャの焦りを敏感に察知した父に先手を打たれる。対面のソファへと座るように促されてしまえば、逃げ出すことも出来ない。そして、アイシャがソファへと座ったのを確認した母が、話を切り出した。
「アイシャ、デビュタントとして参加した夜会はどうでしたか?」
(やっぱり、その話よね)
「初めての王城での夜会で緊張しましたが、何とかやり過ごす事が出来ました。まぁ、多少のハプニングはありましたが、概ね問題なく過ごせたかと」
(イケメン三人とのアレやコレやは、話さない方が良いわよね)
言ったら最後、どんなお小言が待っているか分からない。デビュタントと言えども、アレはマズかったと自分でも理解している。事の重大さも。
「ダニエルから聞きましたが、ノア王太子殿下とキース・ナイトレイ侯爵子息、リアム・ウェスト侯爵子息と何かあった様ですね?」
「――――あっ!!」
(ドッキーン! バレてる、バレてる、絶対バレてるよぉ)
「はは、ははは……、いったい何の事でしょう?」
帰って早々、兄ダニエルの姿が見えないと思っていたら、きっちり報告に向かっていたらしい。
(あぁぁぁ、お兄さま!! なんて余計な事を)
事の重大さを理解しているだけに、これから始まるお説教が怖くて仕方がない。
数日後に、今夜の事件がバレるのと、今バレるのとでは精神的なダメージがケタ違いだ。色々あり過ぎた今夜くらいは妄想に浸りながら安らかに眠りたい。
最後の望みをかけて、アイシャはしらばっくれる事にした。
「あら? 何も無かったと。わたくしが聞いた話ですと、アイシャはノア王太子殿下とファーストダンスを踊り、続けて二曲目も一緒に踊ったとか。その後は、キース様とも二曲ダンスを踊り、どこぞの令嬢に絡まれているところをリアム様に助けられ、婚約者宣言されたとかなんとか。この話はアイシャではない別の令嬢の事だったのかしら?」
(全部バレてる、バレてるよぉ)
今更しらばっくれた事を後悔しても、あとの祭りだ。仕方ない。甘んじて叱られよう。
アイシャは目の前の両親を見て覚悟を決める。
「――――はい。今のお話は全てわたくしの事で間違いございません。なにぶん、右も左もわからないデビュタントだったもので、あれよあれよという間に、その様な事態になっておりました。申し訳ございませんでした」
ガバッと頭を下げたアイシャへ、一つため息をこぼした母が諭すように言葉を紡ぐ。