転生アラサー腐女子はモブですから!?
エイデン王国では、侯爵家と伯爵家以下の貴族家との間には大きな格差が存在する。一番の違いは公爵家及び侯爵家は自領を持っていることだ。そのため、自領に住む人々からの莫大な税収は大きな収入源になっている他、独自の産業を発展させている領地もあり、伯爵家以下とは比べものにならない程の資産を有している。
伯爵家以下の貴族家の中にも商会を経営するなど、資産を増やしている家もあるが、自領を持つ公爵家、侯爵家の足元にも及ばない。リンベル伯爵家も父の王城執務官としての給金で慎ましやかに暮しているのが現状だった。
(本当、不思議よね……)
ノア王太子にキースにリアム。彼らは、王族に、侯爵家子息達である。はっきり言って住む世界が違うのだ。伯爵家とは格が違い過ぎる。
その中でも家長が、軍部のトップであるナイトレイ侯爵家と宰相のウェスト侯爵家は、数ある侯爵家の中でもさらに別格だ。同じ貴族でも、本来であれば三人共、雲の上の存在。幼い頃からの知り合いでなければ、声すらかけてもらう事はなかっただろう。その三人から求婚されている事実が今でも信じられない。
(そりゃあ、リンゼン侯爵家のアナベル様が激怒なさるのもわかるわぁ)
ポッと出の伯爵令嬢に、王族と侯爵子息が一度に求婚するなんて前代未聞だ。
キースは、リンベル伯爵家との姻戚関係を望む政略結婚ではなく、アイシャ自身を愛していると言っていたが、彼が言うほどの魅力が、ただの伯爵令嬢の自分に有るとは思えない。
(私自身に何か秘密があるの!? まさか、前世の記憶があるってバレているとか? それで前世の記憶と知識を手に入れようと考えて――――って、そんな訳ないか)
前世の記憶持ちである事は誰にも教えていない。バレる要素が無いのだ。
(では、なぜ私に求婚するのか? 意味がわからない……)
そんな事をツラツラと考えながら歩いていれば、あっという間にロイヤルスウィートへ着いてしまった。
「リアム様、失礼致します。リンベル伯爵家のアイシャ様をお連れ致しました」
「あぁ。入ってくれ」
扉の向こうから聞こえたリアムの声に、鼓動がひとつ跳ねる。それに気づかないフリをして、クルーチーフに促されるまま、ドアノブに手をかけひねった。
伯爵家以下の貴族家の中にも商会を経営するなど、資産を増やしている家もあるが、自領を持つ公爵家、侯爵家の足元にも及ばない。リンベル伯爵家も父の王城執務官としての給金で慎ましやかに暮しているのが現状だった。
(本当、不思議よね……)
ノア王太子にキースにリアム。彼らは、王族に、侯爵家子息達である。はっきり言って住む世界が違うのだ。伯爵家とは格が違い過ぎる。
その中でも家長が、軍部のトップであるナイトレイ侯爵家と宰相のウェスト侯爵家は、数ある侯爵家の中でもさらに別格だ。同じ貴族でも、本来であれば三人共、雲の上の存在。幼い頃からの知り合いでなければ、声すらかけてもらう事はなかっただろう。その三人から求婚されている事実が今でも信じられない。
(そりゃあ、リンゼン侯爵家のアナベル様が激怒なさるのもわかるわぁ)
ポッと出の伯爵令嬢に、王族と侯爵子息が一度に求婚するなんて前代未聞だ。
キースは、リンベル伯爵家との姻戚関係を望む政略結婚ではなく、アイシャ自身を愛していると言っていたが、彼が言うほどの魅力が、ただの伯爵令嬢の自分に有るとは思えない。
(私自身に何か秘密があるの!? まさか、前世の記憶があるってバレているとか? それで前世の記憶と知識を手に入れようと考えて――――って、そんな訳ないか)
前世の記憶持ちである事は誰にも教えていない。バレる要素が無いのだ。
(では、なぜ私に求婚するのか? 意味がわからない……)
そんな事をツラツラと考えながら歩いていれば、あっという間にロイヤルスウィートへ着いてしまった。
「リアム様、失礼致します。リンベル伯爵家のアイシャ様をお連れ致しました」
「あぁ。入ってくれ」
扉の向こうから聞こえたリアムの声に、鼓動がひとつ跳ねる。それに気づかないフリをして、クルーチーフに促されるまま、ドアノブに手をかけひねった。