転生アラサー腐女子はモブですから!?
「甲板で出航セレモニーをやっているみたいだね。後で、甲板にも降りてみようか。その後は、船内で軽食でも取ろう」
いつの間にか隣に来ていたリアムの存在に、アイシャの心臓が早鐘を打ち始める。
(私、どうしちゃったのかしら? これじゃ、まるでリアムを意識しているみたいだわ。きっと、さっきのキスのせいよ……)
「えぇ。甲板にも降りてみたいわ」
アイシャは、赤くなった頬を隠すようにうつむくと、リアムの言葉に適当な相槌を打ち、その場をやり過ごす。
甲板での出航セレモニーが終わり、ゆっくりと船が動き出す。
「リアム様、船が動き出しましたわ! 本当に不思議。こんなに大きな船が動き出すなんて」
「この船は、最新式の蒸気船なんだ。石炭を燃料に、蒸気タービンを動かして、スクリューを回し、前進している」
「リアム様、詳しいのね」
「まぁ、この船はウェスト侯爵家が所有する船だしね。自分の家が所有する船の性能くらい知っておかないと。ウェスト侯爵家は、ここら辺一帯の港町を領地としているんだよ。この蒸気船を所有する船会社も、ウェスト侯爵家の傘下のひとつだ」
道理でロイヤルスウィートなんて言う、王族が泊まるような最上級の部屋を確保出来るわけだ。己の家が所有する船であれば、当たり前か。改めて感じる家格の違いに目眩すらする。
「アイシャ、潮風に当たり過ぎると身体が冷える。部屋の中へ戻ろう」
アイシャはリアムに促され、部屋へと入る。もちろん、アイシャの腰にさりげなく手を回したリアムのエスコート付きでだ。
ピッタリと腰に腕を回されている状況に、アイシャの緊張も高まっていく。しかし、無理矢理リアムの腕を引きはがすのも気がひける。
(今の状況を気にしないためには、他のことに目を向ければいいのよ)
無理矢理、意識を切り替えるために、何かないかと視線を巡らす。改めて部屋の中を見回せば、ロイヤルスウィートの名に相応しい豪華な家具や、調度品が目に入る。
「本当、素敵なお部屋。調度品にはあまり詳しくない私が見ても、素晴らしいものだとわかるわ」
「おや? アイシャは、部屋の内装になんて興味がないと思っていたけど」
「なっ! 私だって、剣ばかりを振っていた幼い頃とは違いますのよ。淑女教育も受けましたし、多少は見る目も養いまして……」
だんだんと尻窄まりになる言葉に、急にリアムの目が気になりだす。
(私、なに張り合っているのかしら……)
淑女教育をしたと言っても、たった一年だけだ。付け焼き刃の知識で、侯爵家の息子と張り合おうだなんて、それこそおこがましい。でも、悔しいものは、悔しいのだ。
(少しは、私だって令嬢らしくなったんだから)
「先ほどリアム様が座っていた猫脚のソファも、精緻な花の刺繍が施され、とても素敵です。それに、壁に飾られた絵画も絵心がない私でも分かるくらいセンスが良いものだわ」
「アイシャが気に入ってくれたならよかった。会えない間に、色々と努力したんだね」
「えっ?」
腰を抱いていたリアムの腕に身体を回され、気づいた時には向かい合う形で、彼の腕の中へと収まっていた。
「アイシャ、私のために努力してくれたの?」
キュッと抱きしめられ、耳元でささやかれた言葉に、鼓動が大きく跳ねる。急に甘さを増した雰囲気に、アイシャの頬が赤く染まっていく。
いつの間にか隣に来ていたリアムの存在に、アイシャの心臓が早鐘を打ち始める。
(私、どうしちゃったのかしら? これじゃ、まるでリアムを意識しているみたいだわ。きっと、さっきのキスのせいよ……)
「えぇ。甲板にも降りてみたいわ」
アイシャは、赤くなった頬を隠すようにうつむくと、リアムの言葉に適当な相槌を打ち、その場をやり過ごす。
甲板での出航セレモニーが終わり、ゆっくりと船が動き出す。
「リアム様、船が動き出しましたわ! 本当に不思議。こんなに大きな船が動き出すなんて」
「この船は、最新式の蒸気船なんだ。石炭を燃料に、蒸気タービンを動かして、スクリューを回し、前進している」
「リアム様、詳しいのね」
「まぁ、この船はウェスト侯爵家が所有する船だしね。自分の家が所有する船の性能くらい知っておかないと。ウェスト侯爵家は、ここら辺一帯の港町を領地としているんだよ。この蒸気船を所有する船会社も、ウェスト侯爵家の傘下のひとつだ」
道理でロイヤルスウィートなんて言う、王族が泊まるような最上級の部屋を確保出来るわけだ。己の家が所有する船であれば、当たり前か。改めて感じる家格の違いに目眩すらする。
「アイシャ、潮風に当たり過ぎると身体が冷える。部屋の中へ戻ろう」
アイシャはリアムに促され、部屋へと入る。もちろん、アイシャの腰にさりげなく手を回したリアムのエスコート付きでだ。
ピッタリと腰に腕を回されている状況に、アイシャの緊張も高まっていく。しかし、無理矢理リアムの腕を引きはがすのも気がひける。
(今の状況を気にしないためには、他のことに目を向ければいいのよ)
無理矢理、意識を切り替えるために、何かないかと視線を巡らす。改めて部屋の中を見回せば、ロイヤルスウィートの名に相応しい豪華な家具や、調度品が目に入る。
「本当、素敵なお部屋。調度品にはあまり詳しくない私が見ても、素晴らしいものだとわかるわ」
「おや? アイシャは、部屋の内装になんて興味がないと思っていたけど」
「なっ! 私だって、剣ばかりを振っていた幼い頃とは違いますのよ。淑女教育も受けましたし、多少は見る目も養いまして……」
だんだんと尻窄まりになる言葉に、急にリアムの目が気になりだす。
(私、なに張り合っているのかしら……)
淑女教育をしたと言っても、たった一年だけだ。付け焼き刃の知識で、侯爵家の息子と張り合おうだなんて、それこそおこがましい。でも、悔しいものは、悔しいのだ。
(少しは、私だって令嬢らしくなったんだから)
「先ほどリアム様が座っていた猫脚のソファも、精緻な花の刺繍が施され、とても素敵です。それに、壁に飾られた絵画も絵心がない私でも分かるくらいセンスが良いものだわ」
「アイシャが気に入ってくれたならよかった。会えない間に、色々と努力したんだね」
「えっ?」
腰を抱いていたリアムの腕に身体を回され、気づいた時には向かい合う形で、彼の腕の中へと収まっていた。
「アイシャ、私のために努力してくれたの?」
キュッと抱きしめられ、耳元でささやかれた言葉に、鼓動が大きく跳ねる。急に甘さを増した雰囲気に、アイシャの頬が赤く染まっていく。