転生アラサー腐女子はモブですから!?
「アナベル様、わたくし、自分の趣味を満喫出来ない結婚なんて、絶対にしないと、心に決めていますの。万が一、王太子妃になれば、わたくしの趣味を続けることは不可能です。まぁ、ノア王太子が知った時点で婚約破棄でしょうけど……」
「――――婚約破棄ですか??」
「いえいえ、何でもありませんのよ。オホホホ………………」
最後にボソっと言われた言葉が気になったアナベルだったが、熱に浮かされたように、己の希望を述べるアイシャの言葉に、白けた気持ちが込みあげる。
(望まない結婚はしないだなんて、なんて傲慢な考えなのかしら。伯爵令嬢が、王族からの婚約打診を断れる訳ないじゃない)
「アイシャ様は、ノア王太子殿下からの婚約話を断れると、本気で思っているのですか?」
「えぇ、もちろん。不幸中の幸いと言いますか、今回の御三方による婚約騒動、選ぶ権利はこちら側にありますので」
「えっ!? アイシャ様側に、選ぶ権利がありますの? ありえないわ…………」
今回の御三方による婚約騒動も異例だが、王家や侯爵家からの婚約の打診を選ぶ権利が、格下の伯爵家側にあるだなんて、信じられない。
「――――それは、本当ですか?」
「えぇ。しかも両親は、わたくしが誰を選んでも良いと言っています。しかし、この婚約話が社交界に知れ渡った今、誰も選ばないと言う選択だけは出来ません。わたくしの社交界での評判が地に落ちるのはかまいませんが、リンベル伯爵家の家名に泥を塗るわけにはいきませんから」
アイシャの話が真実なら、この婚約話は彼女の気持ち次第という事になる。彼女の言葉が信じられず、アナベルは頭をふる。
(信じられないわ。ただ、彼女の話が本当なら……)
目の前に座る女性が、突然得体の知れない人物へと変貌する。
(王家、侯爵家が、こぞって欲しがる何かが、アイシャ様にはあるとでも言うの?)
恐怖に支配されたアナベルの背を、冷や汗が伝い、落ちていく。
「わたくしは両親から、一週間ずつ、御三方と過ごすように言われています。この船旅もその一環です。わたくしに断る権利は、もちろんありません。ですから、『不可抗力です』と言ったのです。今は、リアム様と過ごしていますが、次はノア王太子殿下の番です」
ノア様とアイシャ様が二人だけで過ごす。そんなの嫌よ!!
アナベルの心の中で、醜い感情の炎がメラメラと燃え上がる。そんなアナベルの心情を知ってか、知らずか、目の前に座るアイシャの口角が上がり、挑発的な言葉が発せられる。
「――――婚約破棄ですか??」
「いえいえ、何でもありませんのよ。オホホホ………………」
最後にボソっと言われた言葉が気になったアナベルだったが、熱に浮かされたように、己の希望を述べるアイシャの言葉に、白けた気持ちが込みあげる。
(望まない結婚はしないだなんて、なんて傲慢な考えなのかしら。伯爵令嬢が、王族からの婚約打診を断れる訳ないじゃない)
「アイシャ様は、ノア王太子殿下からの婚約話を断れると、本気で思っているのですか?」
「えぇ、もちろん。不幸中の幸いと言いますか、今回の御三方による婚約騒動、選ぶ権利はこちら側にありますので」
「えっ!? アイシャ様側に、選ぶ権利がありますの? ありえないわ…………」
今回の御三方による婚約騒動も異例だが、王家や侯爵家からの婚約の打診を選ぶ権利が、格下の伯爵家側にあるだなんて、信じられない。
「――――それは、本当ですか?」
「えぇ。しかも両親は、わたくしが誰を選んでも良いと言っています。しかし、この婚約話が社交界に知れ渡った今、誰も選ばないと言う選択だけは出来ません。わたくしの社交界での評判が地に落ちるのはかまいませんが、リンベル伯爵家の家名に泥を塗るわけにはいきませんから」
アイシャの話が真実なら、この婚約話は彼女の気持ち次第という事になる。彼女の言葉が信じられず、アナベルは頭をふる。
(信じられないわ。ただ、彼女の話が本当なら……)
目の前に座る女性が、突然得体の知れない人物へと変貌する。
(王家、侯爵家が、こぞって欲しがる何かが、アイシャ様にはあるとでも言うの?)
恐怖に支配されたアナベルの背を、冷や汗が伝い、落ちていく。
「わたくしは両親から、一週間ずつ、御三方と過ごすように言われています。この船旅もその一環です。わたくしに断る権利は、もちろんありません。ですから、『不可抗力です』と言ったのです。今は、リアム様と過ごしていますが、次はノア王太子殿下の番です」
ノア様とアイシャ様が二人だけで過ごす。そんなの嫌よ!!
アナベルの心の中で、醜い感情の炎がメラメラと燃え上がる。そんなアナベルの心情を知ってか、知らずか、目の前に座るアイシャの口角が上がり、挑発的な言葉が発せられる。