転生アラサー腐女子はモブですから!?
社交界の寵児と言われ、今までもたくさんの女性を虜にして来たリアム。夜会で彼を取り囲む令嬢達の反応が、それを物語っていた。そんな煌びやかな令嬢達ではなく、昔馴染みのアイシャをリアムは選んでくれた。そのことが、何よりも嬉しかった。
だからこそ、不安にもなるのだ。
リアムからの好意を疑ってはいない。しかし、超優良物件の彼に、今まで女性の影がなかったのかは正直わからない。
社交界デビューを果たしたばかりのアイシャでは、リアムが貴族の中で、どのような立ち位置にいるのか、そして過去の女性関係がどうなっていたのかなど、わからないことだらけだ。
好きだからこそ、不安になってしまう。
(婚約した途端、昔の女がしゃしゃり出てきたらどうしよう……)
「あのね、リアム様には、今まで婚約者とか恋人とか、想い人はいなかったのかしら?」
「わたくしの口からは何とも、お伝え出来ないプライベートな事ですのでご容赦くださいませ」
「ま、そうよね。守秘義務があるものね」
「では、一点だけ。リアム様が女性をウェスト侯爵家にお連れになったことは一度もございません。ですので、今回の船旅に、アイシャ様を招待されると知った時は、驚きましたわ。リアム様、直々に専属侍女を任命された時も、『とても大切な女性だから、しっかり仕えて欲しい』と言われ、アイシャ様こそ、リアム様の想い人なのだと、確信致しました」
「それは、本当なの? 信じられないわ。いつだってリアム様は、わたくしを揶揄ってばかりで、恋愛感情があるだなんて、最近まで知りませんでしたの」
「まぁ。愛しい人ほど苛めたくなってしまうのが、男の性と言いますし」
「そういうものなのね」
そんな、たわいない会話をしながら、アイシャは侍女に青のドレスを着付けてもらい、揃いのジュエリーを身につける。
「素敵ね……」
鏡に写ったアイシャは、文句なしの出来栄えだった。
コバルトブルーから深い藍色へとグラデーションが施されたドレスは、動くたびに光を反射して、ほのかに輝いて見える。ドレスに合わせて作られたブルーサファイアのネックレスは、シンプルな胸元を華やかに彩り、涙型のイヤリングも揺れるたびにキラキラと輝く。
「アイシャ様、仕上げでございます」
「まぁ、素敵な仮面」
侍女から手渡されたのは、精緻な細工が施された銀色の仮面だった。鏡をそっとのぞき見ると、そこには目元を仮面で隠した魅惑的な女性が写っている。
(これが、私なの? こうして見ると金髪もハーフアップにして、キツめの目元も仮面で隠すと美女風になるのね)
キツめの目元と金髪が妙な迫力を醸し出し、性格悪そうな女に見えるのが悩みの種だったアイシャには、鏡に写った自分の変身ぶりに驚く。
支度を手伝ってくれた侍女の腕に、ただただ感心するばかりだ。
「アイシャ様、とっても素敵ですわ。これなら、リアム様も惚れなおすかと思います」
「ありがとう。貴方の腕がとても良いからだわ。あとは素敵なドレスのおかげかしら。では、行ってくるわね」
侍女の見送りを背にアイシャは、舞踏会場へ向け歩き出した。
だからこそ、不安にもなるのだ。
リアムからの好意を疑ってはいない。しかし、超優良物件の彼に、今まで女性の影がなかったのかは正直わからない。
社交界デビューを果たしたばかりのアイシャでは、リアムが貴族の中で、どのような立ち位置にいるのか、そして過去の女性関係がどうなっていたのかなど、わからないことだらけだ。
好きだからこそ、不安になってしまう。
(婚約した途端、昔の女がしゃしゃり出てきたらどうしよう……)
「あのね、リアム様には、今まで婚約者とか恋人とか、想い人はいなかったのかしら?」
「わたくしの口からは何とも、お伝え出来ないプライベートな事ですのでご容赦くださいませ」
「ま、そうよね。守秘義務があるものね」
「では、一点だけ。リアム様が女性をウェスト侯爵家にお連れになったことは一度もございません。ですので、今回の船旅に、アイシャ様を招待されると知った時は、驚きましたわ。リアム様、直々に専属侍女を任命された時も、『とても大切な女性だから、しっかり仕えて欲しい』と言われ、アイシャ様こそ、リアム様の想い人なのだと、確信致しました」
「それは、本当なの? 信じられないわ。いつだってリアム様は、わたくしを揶揄ってばかりで、恋愛感情があるだなんて、最近まで知りませんでしたの」
「まぁ。愛しい人ほど苛めたくなってしまうのが、男の性と言いますし」
「そういうものなのね」
そんな、たわいない会話をしながら、アイシャは侍女に青のドレスを着付けてもらい、揃いのジュエリーを身につける。
「素敵ね……」
鏡に写ったアイシャは、文句なしの出来栄えだった。
コバルトブルーから深い藍色へとグラデーションが施されたドレスは、動くたびに光を反射して、ほのかに輝いて見える。ドレスに合わせて作られたブルーサファイアのネックレスは、シンプルな胸元を華やかに彩り、涙型のイヤリングも揺れるたびにキラキラと輝く。
「アイシャ様、仕上げでございます」
「まぁ、素敵な仮面」
侍女から手渡されたのは、精緻な細工が施された銀色の仮面だった。鏡をそっとのぞき見ると、そこには目元を仮面で隠した魅惑的な女性が写っている。
(これが、私なの? こうして見ると金髪もハーフアップにして、キツめの目元も仮面で隠すと美女風になるのね)
キツめの目元と金髪が妙な迫力を醸し出し、性格悪そうな女に見えるのが悩みの種だったアイシャには、鏡に写った自分の変身ぶりに驚く。
支度を手伝ってくれた侍女の腕に、ただただ感心するばかりだ。
「アイシャ様、とっても素敵ですわ。これなら、リアム様も惚れなおすかと思います」
「ありがとう。貴方の腕がとても良いからだわ。あとは素敵なドレスのおかげかしら。では、行ってくるわね」
侍女の見送りを背にアイシャは、舞踏会場へ向け歩き出した。