【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
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八番目の王子として、離宮の片隅に生まれた私は、周囲に大切にされて育った。
王位継承は、ほとんど一番上の兄である第一王子に決定していたし、一番幼い第八王子は、周囲に可愛がられこそすれ、そういった争いとは無縁の存在だった。
それが変わってしまったのは、十五歳の春の日のことだ。
王立学園に入学を控えていたある日、その精霊は私の前に現れた。
精霊からの加護は、生まれると同時に与えられることが多いが、成長してから与えられることもごくまれにある。
しかしそれは、歴史書には記録されていたが、あまりにまれで、まさか第八王子が、現在王族や貴族たちに加護を与える精霊の中で一番高位の存在から加護を与えられるなんて、誰が予想しただろう。
「……ルルード」
第八王子として生まれた私は、本を読むのが好きな大人しい少年だった。
しかし、風の高位精霊は、私に多くの力を与え、その運命を変えてしまった。
「どうして、私を選んだんだ……?」