【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
王族は、遅くとも王立学園に入学するまでに婚約者を決める。
けれど、精霊の加護を最も尊重する神殿派が、私が王にふさわしいと意見を強め、決まりかけていた長兄の王位継承一位すら揺らぎかけていた。
「……はあ。それにしても、ルルードが私に加護を与えてから、終わりなく婚約の釣書が届いているんだが……?」
『ヒヒン!!』
「あっ、こら!?」
第八王子である私は、つい先日まで国外の王族か、それなりに有力な貴族と婚姻すると周囲に考えられていた。
しかし、ルルードに加護を与えられて以降、私に届くのは、神殿派や反第一王子派の高位貴族からの婚約打診ばかり。
そのどれもが、受けてしまえば国内に騒乱を招くことが明らかなものばかりだった。
――――その上、私に加護を与える精霊ルルードは、そのどれもがお気に召さないようだ。
どちらにしても、無理に婚約をすすめてしまえば、この国の風を司る高位精霊ルルードの機嫌を損ねてしまうだろう。
それに、私自身も国内の混乱を招いてまで結婚したくはなかった。
だから、風の力でバラバラに刻まれてしまった釣書は、ある意味好都合だった。