【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
そして、加護の力の一つだったのだろう。
努力は嫌いではないが、向いていないと思っていた剣は、急に上達し、加護で手に入れた風の魔法の力も相まって、国内でも最高位の力を手に入れた。
もちろんそれは、入学した王立学園で、後に騎士団長になるライバル、バルトと出会ったのも、大きかったに違いない。
「はあ、それにしても、一生独身で過ごせというのか?」
それほど、絶望しているわけでもないが、別に女性が苦手というわけでもない。
急に手に入れてしまった大きな力を持て余し気味だった私を咎めるように、ルルードが近づいてくる。
『ヒヒンッ!!』
そのとき、私に初めて加護を与えたときと同じように、ルルードが鼻先を押しつけてきた。
ルルードの加護の一つは、風を読むように、時々未来を知ることができるというものだ。
その力は、便利だが、思い通りに使えるものでもなく、実用性には乏しかった。
「……女性?」
『ヒヒイイン!!』
前触れもなく、十五歳の私の前に、淡く青い光があふれ、世界が塗り替えられていく。
美しい青色のカーテンのような光の向こうで、笑いかけるのは、少しだけ年上の可愛らしい女性。
青い光のせいでその色合いはわからないが、優しくて温かい笑顔に、不思議と胸が高鳴る。
「……ステラ」