【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 その名をなぜか知っていた……。それは、ルルードの力だったのだろうか……。
 そのときの出来事は、時の流れと、身を置いた過酷な戦場の中、いつしか記憶の奥底に消えてしまった。

 ***

 美しい青い光に、炎のようにゆらゆらと揺らぎながら差し込む赤い光。
 その二つは、十五歳の春、ルルードから初めて加護を与えられたあの日のように、少しずつ私の魔力と全てを塗り替えていく。

 ――――今思えばきっと初恋だったに違いない、青い光の中でこちらに微笑みかける女性、あの日見た光景の記憶を呼び覚ましながら。

「…………」
「んん……。ジェラルド様」
「…………」
「ムニャ……。もうさすがに食べられません……」
「……ステラ!?」

 そして私は、目を覚まし、かつて見た女性がすぐ隣でクゥクゥと寝息を立てていることに動揺して、思いっきりベッドから落ちてしまったのだった。
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