【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
少しだけ羨望を交えた視線をバルトに送ってしまった。
騎士団長としては、誰よりも職務に忠実で、厳しいバルトだが、その仮面を外した彼は、自由で陽気だ。
私の肩に乗せられていた手が離れる。
まっすぐなその視線から、私は目を逸らした。
「……私は、そうは思わない。年齢にしろ、身分にしろ、性別にしろ、乗り越えられない壁というのはあるものだ」
「あいかわらず真面目だな。……つまらん」
「はあ。ステラ嬢に関しては、まだ十にもならないお嬢さんだ。馬鹿なこと言ってないで仕事に戻れ」
それでも、自分の身辺の警護が薄くなることを理解しながら、レザンを外してステラにつく王家の影に任命した俺は、すでに彼女を誰よりも大事に思っていたに違いない。
実際、いつでも背中を任せて戦うことに慣れてしまっていた私は、後日、戦いで不覚にも傷を負い、そのことに気がついたステラが、泣きながらお守りを手渡してくるのだが……。それは、また別の話だ。