【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
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レザンが、ステラの護衛として働くことになってから、数週間が経過した。
王太子フェンディルは、明らかにステラを疎んでいる。
確かに、ステラは何をさせても優秀で、いつも自分が最も優先されている彼にとって、比べられることが耐えられないのだろう。
しかし、子どもの我が儘だ。王としての教育が進めば、そのうちフェンディルも理解するだろう。
そう思っていたのだが、夜会で遠目に見るステラは、幼稚な嫌がらせを受けるようになっていた。
「またか……」
その瞳の色に合わせたのだろう。緑色の装飾が美しいドレスに、真っ赤なワインがかけられる。
彼女と年が近い女性の王族は第三王女殿下だけだが、ステラは背が低く、ドレスのサイズが合わない。
王宮内ですぐに着替えを用立てるのは難しく、恥をかくことになるだろう……。
しかし、面白おかしく、今日のことを一部の令嬢が計画していたという話は、私の耳に届いている。準備していないはずがない。
「────レザン、あれを」
「は、お任せください」
彼女を監視し、護衛しているレザンであれば、ワインがかかるのを防ぐなど容易だっただろう。
だから、これは、彼女に何かを贈りたい私の我が儘だったのかもしれない。