【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「まあ、ドルアスとレザンがついているなら、確実にステラの身は安全だろう」
ステラが、普段見せていた冷静で大人びた王太子の婚約者としての姿。
それが、本来の彼女の姿ではないと知っているのは、ごく一部の人間だけだ。
「ふむ。今朝の様子からして、大人しく屋敷で過ごすことはないのだろうな……」
ステラと朝食を楽しんだあと、屋敷を出た私は、軍部のための会議室に足を運んでいた。
まだ、誰も来ていない会議室の窓に、コンコンッと小さな音。
やはりと思いつつ窓を開ければ、小さな青い鳥が小さな手紙を首につけて自慢気に羽根を広げた。
小さな手紙には、小さな文字。
メガネを掛けて、読み進める。
ドルアスの精霊の加護は、動物たちと意思疎通ができるというものだ。
対する私の加護は、多岐にわたるものの、未来が時々視えるという事以外は、身体強化や剣や魔法の力の向上など、目には見えづらい加護だったため、羨ましく思ったものだ。
「レザンがついているなら、もちろんステラの身は安全だろうが……。公爵夫人としての体裁までは考えられないのだろうな。……まだまだ、教育が必要だ」