【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
気持ちの整理もつかないうちに、ルルードが走り出す。
普通の馬とは違って、そんなに揺れないけれど、とにかくスピードが速い。
私は、ここに来て初めて、前日までは戦場にいたはずのジェラルド様が、婚約破棄の現場に駆けつけることが出来た理由に思い当たる。
「ルルード、あなたがジェラルド様を連れてきてくれたの?」
『ヒヒン!!』
肯定するようにいなないたルルードが、スピードをさらに速める。
横乗りになっている私が、バランスを崩しかけると、ジェラルド様のたくましい腕が、しっかりと支えてくれる。
「帰ろう、ステラ」
「……ジェラルド様?」
「私たちの家に」
「は……はい!!」
ルルードが走れば、景色は風のように過ぎ去り、気がつけばラーベル公爵邸の正門前にいた。
たどり着いたとたんに姿を消してしまったルルード、急に地面についた足は、フワフワとおぼつかない。