【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「……きゃ!」
フワフワしていた私の足が、今日も急に地面から離れる。
あっという間に横抱きにされて、その首元にすがりついた。
「……そのドレス」
「ジェラルド様?」
「いつか贈りたいと思っていたんだ」
「────銀の竜の鱗を使っているんですよね」
「……だが、それも若かりし日の蛮勇だ」
最近の話ではなかったらしい。
確かに、ジェラルド様に関する武勇伝は王国でまことしやかに噂されている。
きっと、そのいくつかは事実に違いない。
「……そうだな。もしも、もう少し後に生まれていればと思わなかったと言えば嘘になる」
「ジェラルド様……。私だって、もうすこし早く生まれていたらと、心の奥底で思っていました」
ギュッと抱きついた私を抱きしめ返す腕の力が強くなる。
部屋についた私の首筋に、ジェラルド様が顔をうずめれば、さらさらと柔らかい髪がくすぐったい。
身をよじった私をそっと降ろしたジェラルド様が、見下ろしてくる。
「……だが、今は、君がここにいることに満足するとしよう」
「私……」