【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「……ジェラルド様」
「────はあ、本物か」
ベッドの上で、私を抱きしめたままのジェラルド様が、熱い吐息を吐く。
おでこに手を当ててみると、まるで暖炉の前に座っていた時みたいに熱い。
先ほどまで、平静を装っていたのが嘘みたいだ。
「……魔力の調整が上手くいかないのですか?」
「……いや、魔力というよりは」
ジェラルド様は、少しだけ私から体を離して、苦々しげに壁のほうへと視線を送る。
部屋の中を満たしていた、淡い紫色の光は消えて、ぼんやりと二つの赤と青の光が浮かんでいる。
「ルルードと、リーリルの加護ですか……」
「ルルードの加護を受けたときもそうだった。眠りにつくと決まって未来を視るが、現実との境が曖昧になるんだ。まあ、あのときはまだ未熟だったから魔力も不安定になったが……」
「そうなのですね」
「────でも、今回は、過去と未来すべてに」