【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 熱に浮かされたような金色の瞳が向けられると、心臓が壊れそうになってしまう。
 ジェラルド様が、苦しんでいるのに不謹慎だと思うけれど、心臓が早鐘を打つのを止めることなんて不可能だ。どうしようもないくらい好きだ。

「……君がいる。手に入れたくて、気が狂いそうだ」
「私は、ジェラルド様の妻ですよ?」

 ジェラルド様が、笑った。
 その笑顔は、少し苦しげで、妖艶なくらいに美しい。私まで苦しくなるほど、ときめいてしまう。

「……幻の中にいる、愛らしい子どもだった君は可愛いし、子どもたちに囲まれて少しだけ今よりも大人びた君は魅力的だ。……でも、目の前にいる何も知らない君が愛しい」
「ジェラルド様……?」

 ひどくふらつきながら私から離れてベッドから起き上がったジェラルド様が、前髪を掻き上げて微笑む。私もゆっくりと起き上がり、その瞳を見つめる。なぜか緊張してしまって、笑うこともできずに。

「……今の私にとっては、目の前にいる君が本物だ」
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