【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
そうなのだろうか。そうだったら良いな、と思う。
でも、たぶんジェラルド様の可愛さについては、バルト卿を含め周囲の人には気がつかれているに違いない。それにしても、目の前のジェラルド様の笑顔が可愛らしく見えて、心臓が撃ち抜かれてしまう。
「……今夜は、そばにいてくれないか?」
「……はい! よろこんで!!」
「……君らしい、返事だな」
苦笑したようにそう呟いたジェラルド様は、首に提げていたチェーンを外して、私の首にかけた。
「これは……?」
「約束しただろう? 図書室の鍵だ」
「……ありがとうございます。ところで、白い結婚は解消ですか?」
「────そうだな。一緒に眠ろうか?」
「はい!!」
その夜ジェラルド様に抱きしめられて眠った私は、これですっかり白い結婚はこれで解消になったと思いこんでいた。
もちろん、二人の子どもを抱きしめている未来の私は、まだまだ解消なんてされていなかったのだと、懐かしくそのことを思い出すのだろうけれど……。
────それは、もう少し先の、未来のお話なのだった。