【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「おい、ルルード?」
そのとき、姿をあらわにしたまま隣にいた風の精霊ルルードが、何かを見つけて駆け出した。
精霊全般に言えることだが、ルルードは警戒心が強く、普段は姿を隠しているし、滅多なことでは私のそばを離れない。
珍しいこともあるものだ、と思いながら、空を眺める。ほどなく、ルルードは帰ってきた。
そして、私のマントを咥えて強く引く。
「本当に、どうしたんだ?」
不思議に思いながらも、導かれるままに足を運ぶ。そこには、美しいエメラルドのような瞳に涙をためた少女がいた。
白い肌に宝石のような瞳。その幼い少女は、可憐で精霊のようだった。