【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「──どうしたの、お嬢さん」
「……え?」
普段であれば、私が他人に近づくのを好まないルルード。しかし、姿を隠して私のそばにいるルルードは、少女に敵意を向けていない。
その事実から、その良くある色合いの少女の正体に気が付く。
「あの……。私」
怒られるとでも思ったのだろうか、少し震えながら見上げた少女は、愛らしく庇護欲をそそる。
キラキラ光る大粒の涙がポロリとこぼれ落ちた。
甥である王太子フェンディルは、わがままに育ってしまった。もしかしたら、心ないことでも言われたのかもしれない。
少しばかり胸を痛めながら、思い当たったその名を呼ぶ。
「────ステラ・キラリス伯爵令嬢だね」
「どうして私の名前をご存じなのですか?」