【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
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ステラ嬢は、とても素直で、賢く、出会うたびに満面の笑顔を見せてくれる。この出来事のあとから、私にとって可愛い妹のような存在になった。
「なあ、ルルード」
『ヒヒンッ?』
──しかし、ステラ嬢に出会ったあとから、大きな問題が一つ生じた。
ステラ嬢は、精霊に愛される加護を持つ。それゆえに、彼女自身は力を持たなくても、精霊を敬い、力を得てきたロレンス国の王族にとって特別な存在だ。
そんな彼女は、王太子フェンディルの婚約者だ。
しかし、その加護はこの国一番の力を持つ私の精霊、ルルードすら魅了してしまったらしい。
彼女に出会った直後から、私のそばに女性、特に私に好意を持つ女性が近寄ると、ルルードが怒り狂うようになってしまったのだ。
「おい、ルルード、このままでは私は一生結婚できないではないか」
『ヒヒンッ!』
そっぽを向くルルードを宥めてみても事態は変わらず……。元々結婚願望が、ほとんどなかったこともあり、そのまま結婚することなく、過ごすことになってしまったのだった。
──そう、彼女が婚約破棄される、その日まで。