【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「……私は、何も持っていない」
ジェラルド様が、求婚してくれなければ、今頃私の命は儚くなっているに違いない。
きっと、恋に盲目になってしまったフェンディル殿下は、そのことに思い至らなかったに違いない……。
王太子の婚約者として、学んできた日々はきっと無駄ではないにしても、王太子の婚約者という肩書きを失った、貧乏伯爵家の長女である私が、ジェラルド様にあげられるものはあまりに少ない。
「……ステラ、ぼんやりとしてどうしたんだ?」
思考に意識を持って行かれていたらしい。
心配そうに眉をひそめたジェラルド様が、気がつけば目の前に立っていた。