【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 こんなにも年が離れていても、なぜかいつだってステラ嬢は、私にとっての心の支えだった。
 ふわり、と戦場に似合わない風が吹く。
 それは、彼女のバニラティーのような甘い香りに似ている。

 ただ、戦場に赴いて、国への忠義だけを胸に生きていこうと思っていた。
 そんな日々を繰り返すだけだと思っていたのに……。

 幼かった少女は、いつの間にか結婚を控え、王太子妃になろうとしている。
 きっと、今までのように刹那であっても、気安く声をかけるなんてできないのだろう。
 それでも、ただ庇護対象でしかなかった彼女は、日々強く、誰よりも可憐に成長し、いつしか私にとって……。

 ふと、顎に手を添えれば、剃ることのできなかった髭がチクチクと触れる。
< 60 / 190 >

この作品をシェア

pagetop