【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
こんなにも年が離れていても、なぜかいつだってステラ嬢は、私にとっての心の支えだった。
ふわり、と戦場に似合わない風が吹く。
それは、彼女のバニラティーのような甘い香りに似ている。
ただ、戦場に赴いて、国への忠義だけを胸に生きていこうと思っていた。
そんな日々を繰り返すだけだと思っていたのに……。
幼かった少女は、いつの間にか結婚を控え、王太子妃になろうとしている。
きっと、今までのように刹那であっても、気安く声をかけるなんてできないのだろう。
それでも、ただ庇護対象でしかなかった彼女は、日々強く、誰よりも可憐に成長し、いつしか私にとって……。
ふと、顎に手を添えれば、剃ることのできなかった髭がチクチクと触れる。