【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「──いや。……この先彼女は、仕えるべき主でしかない」
そのときだった。彼女がくれたお守りの紐が唐突にプツンと切れたのは……。
「……え?」
『ヒヒィイイン!!』
そして、いつもは大人しいルルードが、この場所にいる騎士たちが、天幕から飛び出してくるほどの大音量でいなないた。
「ルルード?」
急に巨大な炎のように立ち上った淡い青色の光に、視界が遮られる。
上も下もわからなくなるようなその光景に呆然とした私の耳にステラの掠れた声が聞こえる。
『──ジェラルド様に、もう一度だけお会いしたかった』
「ステラ嬢……?」
感情を殺して生きていこうと決めていたはずの心が、ゴトリと音を立てる。