【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 一瞬だけ、声が届いたかのようにステラが顔を上げて、こちらに向かって微笑んだ気がした。
 その丸薬は、王家に嫁ぐことに決まった女性に、秘密と貞操を守るために与えられる。
 眠るように彼女は、帰らぬ人になるだろう。

「っ、ステラ!!」
「おい、どうしたんだ!?」

 汗が地面に流れ落ちて、色を変えるほどだ。
 心臓が苦しくなるほど早鐘を打っている。

 顔を上げると、先ほどのルルードのいななきと、私の異変に気がついて走ってきたのだろう、息を切らせたバルドが私の肩を掴んで揺さぶっていた。
 ドカンッと背中に体当たりしてくる感覚に振り返れば、いつもと違って慌てた様子のルルードが視線を向けていた。

「……ステラ」
「なあ、どうしたんだ。お前らしくもない」
「そんなの、許せるはずがない」
「……本当にどうしたんだ、ジェラルド」
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