【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
膝をついて頭を垂れる。王族として生まれた故に、父と兄と、王太子である甥の前以外で膝をつくのは初めてのことだ。
それくらいですむのなら、いくらでもしただろう。
あとで首を差し出せと言われたなら、間違いなく差し出すほど私は必死だった。
「──はあ、何やっているんだよお前」
「……何でもする。お前にしか頼めないんだ!」
「さっさと立ち上がって、目的の場所に走れ!」
「バルト……?」
「一刻を争うんじゃないのか? 失敗したら、この国を滅ぼしそうな目をしているぞ。だからさっさと走れよ、ジェラルド」
その言葉に、弾かれたように立ち上がり、ルルードにまたがる。
精霊が、人間を背中に乗せるなんて許すはずないのに、ルルードは拒否しなかった。
本来であればこんな行動、敵前逃亡と言われて、軍法会議にかけられることだ、と理解していた。
しかし、そのときは、それでも全く構わない、ステラを助け出す。ただ、それしか考えられなかった。