【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 それは、大好きな王子様のために、小さな子どもがしたことだ。
 ジェラルド様は、私のことを助けてくれたけれど、やっぱりそれは幼いころから知っていた少女を守ってあげたかったというだけなのだろう。
 それとも、現在この国で一番強い力を持つ風の精霊、ルルードが私のことを気に入ってしまったからなのだろうか。

「……ジェラルド様、でも私はあなたが、私のせいで罪に問われるのも、傷つくのも嫌なんです」
「ステラ、ありがとう。君は優しいから、余計な心配をかけてしまったようだね。でも、この年になれば困難な状況の抜け道もたくさん知っているから問題ない。今回のことも、すでに処理済みだ」
「……それは、良かったですけれど、そういうことではなくて」

 どこかズレた会話は、私がジェラルド様に子ども扱いされている証拠に違いない。
 そう思ったとき、頭を撫でてくれていた心地よい手のひらが、スルリと頬に滑り降りてきた。

「では、こう言ったら伝わるのか? ……君のために傷つくなら、本望だ」

 そう言って、優しく笑ったジェラルド様は、本当に素敵すぎて、息が止まってしまいそう。
 でも、私の気持ちはきっと伝わっていない。
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