【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
いつも履いていた物より、用意されていた靴のかかとは低い。
やはり可愛らしいリボンがあしらわれた靴を脱いで、お行儀悪いけれど椅子にのる。
心臓が口から飛び出しそうだ。でも、少しでも私の気持ち、わかってほしいから。
もう一度、ジェラルド様よりも高い位置から、その肩に手を置く。
いつも、私のことを撫でてばかりのジェラルド様の髪は、思ったよりも柔らかくてさらさらしている。
そっと、その髪を撫でて、膝を曲げ、そっと頬に口づけを落とす。
ぴょんっ、と椅子から飛び降りて見上げれば、ジェラルド様は、頬を押さえて呆然と私を見下ろしていた。その頬が、いつもと違って心なしか赤いことに溜飲を下げる。
「絶対に、振り向いてもらいますからね!」
ビシリ! とそれだけ宣言した私は、あまりの羞恥にジェラルド様を置いて廊下に飛び出したのだった。