【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

「……驚かせてしまったようで、申し訳ありません」
「ドルアス様……」
「そのようにお呼びになるのはおやめください。できるなら、じいとでも」
「じい……」

 私を見つけてくれたのは、白い髪と髭の老齢の執事長だった。
 じいと呼んでほしいなんて言ってくれたけれど、ドルアス様は国内でも力を持つ伯爵家リーゼのお生まれだ。同じ伯爵家でも、実家のキラリス家とは格が違う。

「あの……。でも」
「なりません」
「えっ?」
「あなた様は、王弟殿下であり、軍部の最高責任者であるジェラルド・ラーベル様の妻となりました。これからは、あなたがひざまずくお相手は、国王夫妻と新しい王太子、そして王太子妃に選ばれるお方だけなのです」

 それは、もちろんそうなのだろう。
 王太子の婚約者として過ごしている間は、まだ私はキラリス伯爵家の長女でしかなかった。
 でも、ジェラルド様と結婚した今、状況は変わってしまった。
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