【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「えっと、執事長とお呼びすれば良いの?」
「じいと呼んでいただきたいのですが……」
その言葉は、明らかに様子がおかしかった私のために違いない。
けれど、ジェラルド様よりもさらにずっと大人な執事長ドルアス様は、何とも言えない安心感がある。
「あの……。じ……」
「じい!!」
「おや、邪魔が入りましたか」
にっこり笑った執事長ドルアス様は、スッと表情を改めた。
そうするだけで、ラーベル公爵家の使用人にふさわしい格というものを感じさせる。
それにしても、じいという単語が聞こえたのは、気のせいではないだろう。
振り返ると、走り回ったのだろうか、息を切らせたジェラルド様が、私を金色の瞳で見つめていた。