【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「ルルード?」
ジェラルド様の隣に現れたルルードが、鼻先を私に押し付ける。
そして、赤く燃えるように輝くもう一つの光。
それは、フェンディル殿下の精霊、リーリルだ。
炎のようにゆらゆらと、透けるような赤い光を多揺らせるリーリルは、けれど近寄ってみても温度は感じられない。
リーリルは、そのまま私の方に歩み寄って、足にすり寄ってきた。
「すごいな……。リーリルは、フェンディルの前にもほとんど姿を現わさず、警戒心が強かったと記憶しているが……」
「そうですね……」
フェンディル殿下の婚約者として過ごしていたけれど、私はその期間、炎の精霊リーリルの姿を見たことがなかった。