【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「……今度は、私に加護を与えるというのか」
私から離れたリーリルは、そのままジェラルド様の足元にすりよった。
浮かんだのは、精霊のいる世界とこの世界を繋ぐ不可思議な魔方陣だ。
見たことがない文字と紋様で埋め尽くされたその魔方陣は、ジェラルド様の足元で赤く輝いている。
「……ステラ、どうしたら良いと思う?」
「精霊2体から加護を受けた人なんて、聞いたことがありません……」
「そうだな。私も聞いたことがないが」
けれど、精霊は人の都合なんて聞いてくれないことも知っている。
人間よりずっと多くの力を持ちながらも、その行動は予測が難しい。
「……もっと、力が欲しい」
「もう、十分すぎるほどお持ちです」
「君を守りたい……。しかし、私が傷つくと、君はすぐに泣いてしまうだろう?」
いたずら好きの少年みたいに笑ったジェラルド様を止めようと思ったけれど、差し出したその指先にリーリルが鼻先を押し付け、契約はなされてしまった。