【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 廊下で不思議な出来事が起こって時間が過ぎてしまったけれど、確かに窓の外はもう真っ暗だ。
 ジェラルド様は、私に背を向けてしまった。
 慌ててその上衣の裾を掴む。

「…………」
「どうしたんだ、ステラ?」

 少し困惑したような表情で、ジェラルド様は振り返った。私は、恥ずかしさをこらえて口を開く。

「……部屋に向かう階段は、どこでしたっけ?」

 沈黙が辛い。しばらく私を見つめていたジェラルド様が、小さくため息をついて口元を緩める。

「……はあ。屋敷に慣れるまでは、私のそばを離れないように」
「は、はい」

 精霊の加護を受けたせいなのか、不思議なほど熱いジェラルド様に手を引かれれば、思ったよりも先ほどの部屋へ続く階段は、すぐ近くにあった。
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