【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「ドルアス様……」
「じいでございますよ? 奥様」
「……」
ドルアス様は、しゃがんでジェラルド様の顔をのぞき込んだ。
「はあ、そんな軟弱にお育てした覚えはありませんよ?」
「面目ない」
そして、軽々と長身のジェラルド様を抱え上げた。
その、どこか非現実的で、かつ少々胸が躍る展開を見上げていると、ドルアス様は少し野性的な印象で私に微笑みかけた。
「エスコートして差し上げられないのは、残念ですが、部屋まで歩けますでしょうか?」
「もちろんです……」
ジェラルド様を抱えたまま、軽い足取りで階段を上がっていくドルアス様は、いったい何歳なのだろう。
少なくとも、ジェラルド様よりも年上なのは間違いない。
私は、慌ててそのあとを追いかけたのだった。
そして、たどり着いたのは、夫婦の部屋だ。
扉を開けて中に入っていった二人を見つめる。
乱暴にジェラルド様がベッドに降ろされるのを見て、二人はただの主人と執事長という関係ではないことを察する。