【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

「ドルアス様……」
「じいでございますよ? 奥様」
「……」

 ドルアス様は、しゃがんでジェラルド様の顔をのぞき込んだ。

「はあ、そんな軟弱にお育てした覚えはありませんよ?」
「面目ない」

 そして、軽々と長身のジェラルド様を抱え上げた。
 その、どこか非現実的で、かつ少々胸が躍る展開を見上げていると、ドルアス様は少し野性的な印象で私に微笑みかけた。

「エスコートして差し上げられないのは、残念ですが、部屋まで歩けますでしょうか?」
「もちろんです……」

 ジェラルド様を抱えたまま、軽い足取りで階段を上がっていくドルアス様は、いったい何歳なのだろう。
 少なくとも、ジェラルド様よりも年上なのは間違いない。
 私は、慌ててそのあとを追いかけたのだった。

 そして、たどり着いたのは、夫婦の部屋だ。
 扉を開けて中に入っていった二人を見つめる。
 乱暴にジェラルド様がベッドに降ろされるのを見て、二人はただの主人と執事長という関係ではないことを察する。
< 94 / 190 >

この作品をシェア

pagetop