【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
そのまま、私の方に歩んできたドルアス様は、いつもよりも背まで高くなっているようだ。
それとも、私が小さすぎるだけなのだろうか……。
「どうして、そんなところに立っていらっしゃるのですか?」
「え?」
「この部屋は、旦那様と奥様の寝室です」
「……でも」
先ほどの言葉から考えて、ジェラルド様は私と一緒に寝る気はないようだった。
そうであれば、いくら夫婦のために用意されている部屋だからといって、ジェラルド様が休んでいるのに私が入るのははばかられる。
それに、少し具合が悪そうなジェラルド様は、色気がありすぎて、たぶん私の心臓が持たない。
「奥様」
「は、はい!!」
少しだけ語気を強めたドルアス様は、しかしその声に見合わない完璧な執事としての笑顔を浮かべる。
思わず心臓がドキリと音を立てたけれど、これは浮気ではないはず。